中央銀行である香港金融管理局(HKMA)とタイ銀行(BoT)は、クロスボーダー(国境を越えた)決済に向けた中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入へ向けた共同プロジェクトに関する報告書を公開した。1月22日、プレスリリースと共に発表した。

同プロジェクト「Inthanon-LionRock(インタノン・ライオンロック)」は2019年3月に開始し、同年12月に完了した。

今回公開した90ページに渡る報告書には、CBDCのリアルタイムでの送金、流動性管理、コンプライアンス、その他金融における側面の利点やリスクの分析が掲載されている。

同プロジェクトには、バンコック銀行、サイアム・コマーシャル銀行、香港上海銀行、衆安銀行(ZAバンク)など香港とタイの10銀行が参加。分散型技術を基盤とした概念証明(PoC)プロトタイプに焦点を当てた。

また、技術パートナーとして、大手ブロックチェーンコンソーシアム(共同事業体)R3もサポートした。

タイ・バーツと香港ドルを連結させる仕組みを用意し、参加者が決済コストと時間が削減できるとされるピアツーピアベースで資金を送金し、外国為替トランザクションを実行できるようにした。

R3のブロックチェーンプラットフォーム「コルダ」を基盤とし、外国為替向けPVP(payment-versus-payment)決済を実行するため、スマートコントラクトを導入。PVPは、もし最終送金が別の単一あるいは複数の通貨で実施された場合でも、1つの通貨内で1つの決済の最終送金を確認するメカニズムだ。

両銀行は今回のプロジェクトを通じて、CBCDは、伝統的な銀行決済システムと比較して、仲介作業や決済層を著しく削減し、二重払いといったリスクを回避できる可能性があると結論付けている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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