仮想通貨取引所のクラーケンは、先週ニューヨーク州司法長官が仮想通貨取引所に送付した質問状は「派手なプロパガンダ」であると批判した。また日本の仮想通貨に関する法律を「比較的」合理的な規制の「好例」だと述べた。22日に投稿したブログ記事の中で述べた。

 NY州のエリック・T・シュナイダーマン司法長官は17日、「仮想通貨市場の誠実性イニシアティブ」に着手し、仮想通貨取引所13社に質問状を送付した。取引所の市場操作対策、インサイダー取引の防止策、顧客の資金保護などの項目を網羅した3ページからなる質問状に2週間以内に答えるよう求めた。このイニシアティブは「派手なプロパガンダという印象を受ける」とクラーケンは述べ、「北朝鮮の司法長官に対しても同じように反応するだろう」とつけ加えた。

 クラーケンは、NY州当局の取り組みに不快感を示す。2週間という期限は短すぎる上、質問は「見当違い」であり、求められている情報の大半はウェブサイト上に明記されたり、すでに政府機関に提供されているか、セキュリティ上の理由もしくは企業秘密であるために極秘扱いになっている情報だと反論する。

 また、クラーケンはNY州が独自規制の「ビットライセンス」を導入した後、NY州から撤退したため、NY州内に顧客が存在しないことも指摘している。

「司法長官は、ニューヨーク州に顧客を持たないクラーケンに対して、ニューヨーク州の消費者を守ることに手を貸すよう要請している。だが専門的助言に対してなんの見返りも与えるつもりはないようだ」

 クラーケンは、規制が「合理的」なものであれば、将来的には政府に協力する用意があることを示唆して、司法長官の質問状に対する批判を締めくくった。

「(NY州の)ビットライセンスを別の合理的なものに置き換える戦略に関して、ニューヨーク州司法長官及びニューヨーク州金融サービス局に(再び)喜んで協力する用意がある。[…]当社はこれを、ニューヨークの人々へのプレゼントとして無料で行う。[しかし]突然に理不尽な要求をすることは、信頼回復して関係を構築するための正しい1歩ではない」

 またクラーケンは、最近の日本から撤退する決断についてもブログの中で言及している。日本からの撤退は、1月のコインチェックのハッキング事件の余波で、当局の監督強化が理由だと説明している。ただし、日本の仮想通貨関連の法は「(比較的)合理的な規制によって国が恩恵を受けている好い事例だ」と述べ、「クラーケンは近い将来、日本の市場に再び参入する機会を見つけたいと願っている」とつけ加えている。

クラーケンは、大手の仮想通貨取引所はすでに犯罪抑止のために情報の共有や盗難された資金の凍結などで取引所間で連携していると述べる。

規制当局は、模範的な規制対応をすでに実施している企業に相談すべきだとして、クラーケンは次のように結論を述べている。

「規制当局は象牙の塔から一方的に命令を下すのではなく、長年にわたって生き残り、消費者や法執行機関の信頼を勝ち取ってきた企業にその専門知識を請うべきだ」