新たなレポートによれば、今後10年以内に、4兆ドル超の不動産がブロックチェーン上でトークン化される可能性がある。

デロイト金融サービスセンターは4月24日に公表したレポートの中で、不動産トークン化の市場規模が2024年の3000億ドル未満から、2035年までに4兆ドルに達すると予測した。これにより、年間平均成長率(CAGR)は27%超になる見込みだ。

この成長の背景には、ブロックチェーンベース資産の利点に加え、不動産市場そのものの構造的な変化があると分析されている。

不動産トークン化市場の成長予測. Source: Deloitte

プルーム・ネットワーク共同創設者のクリス・イン氏は、「不動産市場そのものが変革期を迎えている」と述べた。パンデミック後のリモートワーク普及、気候リスクへの対応、そしてデジタル化が不動産の基本構造を大きく変えつつあると指摘している。

「オフィスビルはAIデータセンター、物流拠点、省エネ型住宅コミュニティなどへと用途転換が進んでいる」とイン氏は語った。

そして、「投資家は、こうした現代的な用途へのターゲット型アクセスを求めており、トークン化は進化する資産プロファイルへのプログラム可能かつカスタマイズ可能なエクスポージャーを実現する」と説明している。

関税リスクがRWAトークン化需要を押し上げ

米国のトランプ大統領による関税措置の影響もあり、現実世界資産(RWA)トークン化分野への投資家の関心は一段と高まっている。RWAトークン化とは、金融商品や有形資産をブロックチェーン上でトークン化する取り組みを指す。

イン・トゥ・ザ・ブロックのシニアリサーチアナリスト、フアン・ペリセール氏はコインテレグラフに対し、「世界的な貿易不安の中で、安全資産としてステーブルコインとRWAへの資金流入が活発化している」と述べた。

こうした動きにより、金(ゴールド)のトークン化商品の取引高は4月10日に10億ドルを超え、これは2023年3月、米シリコンバレー銀行破綻とシルバーゲート銀行の自主清算以来の高水準となった。

イノベーションが規制明確化を促す可能性も

イン氏は、RWAトークン化の普及拡大が各国規制当局によるより友好的な対応を引き出す可能性があるとみている。

「規制は障壁だが、使用拡大が進めば、規制が追いついてくる」とし、トークン化をウーバーの成長になぞらえた。

「トークン化も同様で、需要が高まれば規制明確化が進むだろう」と述べ、国際的な多様な規制要件に対応できる商品設計こそが市場アクセス拡大の鍵になると強調した。

不動産トークン化の実効性には懐疑的な見方も

一方で、不動産トークン化による恩恵に対して懐疑的な声もある。セキュリタイズの最高執行責任者マイケル・ソネンシャイン氏は、2025年パリ・ブロックチェーン・ウィークの場で「トークン化のターゲットを不動産に絞るべきではないと思う」と発言した。

「不動産取引から仲介業者やエスクロー手続きを排除することで効率化が図れるのは理解できる。しかし、現在のオンチェーン経済が本当に求めているのは、もっと流動性の高い資産だ」と付け加えた。

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