米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長、ゲイリー・ゲンスナー氏は、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を通じて販売された、ほとんどのトークンは有価証券に該当するとコメントした。ブルームバーグが15日にゲンスナー氏の発言を伝えている。

仮想通貨が証券に該当するとなれば、米証券取引委員会(SEC)が仮想通貨を規制することになるだろう。トークン発行者は証券関連の法律に則り、SECに登録し、発行体の財務諸表を公開するなど説明責任が求められることになる。

ゲンスナー氏は、ブロックチェーン技術を規制する必要の有無について質問されると、「技術的に中立でなければならない」とコメント。仮想通貨など特定のブロックチェーンアプリケーションについては、投資家保護を確立する必要性があると強調した。

「ビットコイン(BTC)のような仮想通貨については、保護が必要だ。石油市場よりも保護が必要だと私は考えている」

ブロックチェーン規制の将来の展望について、ゲンスナー氏は「仮想通貨の道」に対する信頼性を確保するため、「トラフィックとスピードの制限」といった、何らかの監督があるべきだと語った。ゲンスラー氏は、両者は共存できると考えているが、「それを整理し、バランスを取るには数年かかるだろう」と話す。

ゲンスナー氏の発言は、SECでデジタル資産とイノベーションの上級顧問を務めるバレリー・シュシェパニャク氏の声明と共鳴するものだ。シュシェパニャク氏は6月の声明の中で「仮想通貨業界が繁栄したいならば、投資家保護が最優先されるべきだ」と語っている。

今年2月の米議会上院の公聴会で、SECのクレイトン委員長は、SECが見てきたICOトークンのほとんどは証券だと発言。ただビットコインやイーサリアムといった主要なデジタル通貨とトークンとは区別する必要があると指摘した。

イーサリアムが証券に該当するか否かは、今年春以降、議論の的になった。ゲンスナー氏はニューヨークタイムズに対して、リップルやイーサリアムが証券に該当する可能性があるとコメントし、この議論の火付け役となった人物だ。ゲンスナー氏の指摘に対して、イーサリアムのルービン氏は「絶対に証券ではない」と反論。今年6月に、SECの幹部は「現在の状態に基づけば、ETHの発行と販売は証券取引ではない」とコメントしているが、最初のICOでのETHが証券か否かについては議論が続いている。

昨年12月、SECのクレイトン氏は公式声明を出し、「これまでICOで販売されてきたトークンのほとんどは米国法における証券である可能性が高い」と指摘している。