米国の証券取引委員会(SEC)は4日、仮想通貨関連の規制を担当する上級顧問職を創設したと発表した。上級顧問職が新設されるのはSECのデジタル資産とイノベーション部門で、就任するのはバレリー・シュシェパニャク氏。コーポレート・ファイナンス部門のアソシエイト・ディレクターも兼務する。SECのプレスリリースによると、シュシェパニャク氏は、「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)と仮想通貨を含む新興のデジタル資産技術に対する米国証券法の適応に関して、SECの全ての部署間での調整役を任されることになる」という。

 以前シュシェパニャク氏は、SECの分散台帳グループのトップを務めていて、最近参加したニューヨークのコンフェレンス「コンセンサス」では、「仮想通貨業界が繁栄するためには投資家の保護が最優先されなければならない」と発言している。今回シュシェパニャク氏は、「資本形成を促し、公平で秩序立った効率的な市場を作り、個人投資家を中心に投資家を守るために職務を全うしたい」と話している。SEC議長のジェイ・クレイトン氏は、「リスクと希望が共存するこのダイナミックな業界で、我々が足並みを揃えていくためにシュシェパニャク氏は適任だ」と期待を寄せている。

 SECは仮想通貨を有価証券と位置付けていて、自らの管轄下に置いている。ただ2月に行われたSECと米商品先物取引委員会(CFTC)の公聴会でSECのクレイトン議長は、これまでSECは全てのICOトークンを有価証券とみなしてきたが、トークンとビットコインやイーサリアムなどの主要仮想通貨は区別するべきと強調した。この区分を巡って規制関係者の間では意見が分かれていて、イーサリアムは証券という主張もある。この場合、イーサリアムの2014年のICOは違法になる可能性がある。

 SECは引き続きICOに対して慎重な姿勢をみせていて、2月には証券法違反の疑いがあるとして不正ICO疑惑のある複数の個人や企業に召喚状を送付した。最近ではICOリスクについて投資家を教育するために、ICO模擬サイトを立ち上げた。