元ゴールドマン・サックスのパートナーで、政府で金融規制を担当していたゲーリー・ゲンスラー氏は、アルトコインのイーサリアム(ETH)とリップル(XRP)が、未登録証券と見なされる可能性が高いと考えているようだ。ニューヨーク・タイムズが22日に報じた

 ゲンスラー氏はゴールドマン・サックスに在籍した後、オバマ政権で金融規制の最高責任者の1人となり、また16年の大統領選ではヒラリー・クリントンの財政責任者を務めた。ニューヨーク・タイムズによれば、今後はマサチューセッツ工科大学(MIT)でブロックチェーンの課程を受け持つという。MITスローン経営学大学院で教鞭をとり、「デジタル通貨イニシアティブ」のあるメディアラボの特別顧問も務める。

 同氏は、ビットコイン(BTC)はイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で発行されておらず、開発者の分散型ネットワークがあるという事実により、証券として分類されないと述べている。一方で、ETHやXRPについては、「両者、特にリップルについて、非準拠の証券であるという有力な根拠がある」と主張する。

 ゲンスラー氏は2009~14年に米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長を努めた。証券取引委員会(SEC)と並び、ICOで販売される仮想通貨の分類も含め、規制の枠組みづくりを担う政府機関である。仮想通貨市場を規制する両委員会の活動について、同氏は以下のように語っている。

「今年は非常に興味深い年になるだろう。これまでICOで発行された1000種類以上のコインや、ICOを提供する100以上の取引所をふるいにかけ、米国証券法に準拠させていくことになる」

 ゲンスラー氏の主張に対し、イーサリアム財団の宮口礼子執行役員は、ニューヨーク・タイムズへのメールの中で以下のように述べている。財団は「イーサの供給も管理していないし、発行する能力もない。それに財団が保有している分(全イーサの1%以下)は、エコシステムの多数の参加者よりもすでに少なくなっている」。ゲンスラー氏は、コインが採掘中のためETHは証券としての分類を免れるかもしれないが、財団が14年以前にコインを販売したことが問題になる可能性を指摘している。

 リップルのトム・チャンニック広報担当はニューヨーク・タイムズに対し、XRPは証券ではないと語った。

「所有者にリップル社の利害や権利を提供しておらず、配当金も支払っていない。XRPはリップル社の外に存在し、会社の設立以前に生み出され、その後も存続していくものだ」

 ニューヨーク・タイムズによれば、ゲンスラー氏は仮想通貨を1枚も所有していない。彼は、ブロックチェーンにより従来の金融システムはいずれ変革されるが、その際は仮想通貨界でいくらかの調整が必要になると考えている。