投資の方法は、大きく「短期投資」と「長期投資」に分けられる。短期投資と長期投資は「どちらがよい」という正解があるわけではない。

それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を見極めた上で自分に合った方法を選ぶ必要がある。今回は、短期投資と長期投資それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説する。

短期投資と長期投資を初心者向けに解説

短期投資とは

短期投資とは、短期の売買差益を目的とする投資手法だ。値動きを確認しながら、短期間で売買を繰り返して利益(キャピタルゲイン)獲得を目指す。投資期間に明確な定義はないが、当日~数日で取引を終えるのが一般的だ。値動きの激しい新興企業の株式、仮想通貨は短期投資で好まれる金融商品だ。

投資期間が数カ月程度の場合は「中期」と呼ばれることもあるが、短期投資と長期投資に分けるなら短期に分類される。


短期投資のメリット

すぐに損益が確定する
短期投資は投資期間が短く、すぐに損益が確定するのがメリットだ。購入後に値上がりすれば、短期間で利益を獲得できる。

予想が外れて値下がりした場合は、損切りすれば含み損を抱えずに済むため、いわゆる「塩漬け(止むを得ず長期保有すること)」になるのを避けられる。

投資資金を効率的に使える
短期投資の場合、ある銘柄の売買が終了すれば、戻ってきた資金ですぐに別の銘柄に投資できる。投資資金が取引に使われない期間が短く、限られた資金を効率的に使える。


短期投資のデメリット

売買タイミングを見極めるのが難しい
短期投資は基本的にゼロサムゲームで、取引に勝つ人がいれば負ける人もいる。商品の価格は常に変動しており、その動きは不規則で正確に予測するのは不可能だ。

多くのプロが取引に参加しているため、適切な売買タイミングを見極めて、短期投資で利益を上げ続けるのは簡単ではないだろう。

大きな利益は期待できない
短期投資は何度も売買を繰り返しながら、小さな利益を積み上げていくのが特徴だ。投資期間が短いため、1回の取引で大きな利益は期待できない。投資期間が長ければ、たとえば株価が買値の5~10倍に値上がりする可能性もあるが、短期投資では難しいだろう。

取引コストがかかる
短期間で何度も取引を繰り返すと、売買のたびに手数料が発生する。一般的には取引金額が大きくなるほどコストも増えるため、利益の減少要因となる。

ただし、1日の取引金額が一定額までは売買手数料がかからない証券会社もある。少額の取引であれば、売買手数料の節約は可能だ。

短期投資のメリット・デメリットまとめ

短期投資と長期投資はどちらが良いということは断定できない。状況に応じて選択すべき。
短期投資の手法

ルールを守って売買する
短期投資では、あらかじめ売買ルールを設定することが大切だ。たとえば、「買値から5%値上がりしたら利益確定」「10%値下がりしたら損切り」のように売買ルールを決めておき、それを厳守する。

値動きを正確に予測するのは難しい。感覚に頼って取引すると判断が遅れ、利益が減ったり損失が膨らんだりするリスクがある。そのため、短期投資では売買ルールに従って機械的に取引する必要がある。

デイトレード
デイトレードとは、その日のうちに取引を手仕舞いする投資手法だ。短期投資の中で投資期間が最も短く、含み損を翌日以降に持ち越さずに済むのが特徴だ。

小さな利益を積み上げていく手法であり、常に値動きを確認しながら、瞬時に売買タイミングを判断する必要がある。

ポジションを持つとPCやスマホの画面から離れられないため、会社員のように本業がある人には向かないだろう。本格的にデイトレードに取り組むなら、発注システムや操作環境を整えなくてはならない。

スイングトレード
スイングトレードとは、数日~数週間程度の期間で取引を行う投資手法だ。デイトレードより投資期間は長いが、短期間で利益を狙うのは共通している。

チャート分析などのテクニカル分析を使った手法のほか、決算発表や権利確定日などのイベントを利用して利益を狙う方法もある。常に値動きをチェックする必要はないため、予約注文を活用すれば会社員でも取り組めるだろう。


IPO投資
IPO投資とは、新規上場銘柄(IPO株)を上場前に公募価格で購入し、上場時に初値で売却する投資手法だ。初値が公募価格を上回ることが多いため、初値で売却するだけで利益を得られる可能性がある。

ただし、IPO株を購入するには、証券会社の抽選に参加して当選しなくてはならない。IPO株は人気が高く、当選確率は高くないため、購入できる機会は少ないだろう。


長期投資とは

長期投資とは、短期の値動きにとらわれることなく、配当金や長期の値上がり益の獲得を目指す投資手法だ。株式の場合、企業の将来性に注目して長期保有することで、大きな利益を得られる可能性がある。

短期投資と同じく、投資期間に明確な定義はない。一般的には最低でも1年以上で、投資手法によっては10年以上保有を続けることもある。

長期投資では、投資で得た利益が一定額まで非課税になる制度「つみたてNISA」や「iDeCo」を活用しつつ、複数の銘柄に資産を振り分けられる投資信託等がよく採用される金融商品だ。

長期投資のメリット・デメリット

長期投資のメリット

短期の値動きに一喜一憂せずに済む
長期投資は投資期間が長く、短期の値動きに一喜一憂せずに済むため、初心者や仕事が忙しい会社員でも取り組みやすい。投資信託を活用すれば積立投資を利用できるので、時間や手間を省くことも可能だ。


配当金や株主優待を得られる
企業の株主になると、年に1~2回配当金(インカムゲイン)や株主優待を得られる。中には、配当利回りが5%を超える銘柄もある。2021年5月現在、銀行の普通預金金利が年0.001%であることを考えると、かなりの高利回りといえるだろう。

配当金や株主優待を目的にすれば、短期の値動きを気にせず長期保有しやすいのもメリットだ。


複利効果が期待できる
長期投資では、利益を元本に組み込んで投資を継続することで利益が増幅していく「複利効果」が期待できる。投資期間が長くなるほど、複利効果も大きくなる傾向にある。運用を始めた当初はそれほど増えなくても、長く運用を続けると資産の増え方は大きくなる。

長期投資のデメリット

大きな含み損を抱えるリスクがある
長期投資は投資期間が長いため、一時的に大きな含み損を抱えるリスクがある。短期投資と同じように売買ルールを決めておかないと塩漬け状態となり、投資商品の価格が回復するまでに時間がかかることもある。

ただし、短期の値動きにとらわれることなく、損失が許容範囲を超えない限りは保有を続けることも重要だ。

投資銘柄の分析・選定に手間がかかる
特定の銘柄に長期投資をする場合、有望な投資銘柄を選定する必要がある。安心して長期保有できる銘柄を見つけるには、事業内容や業績、将来性などの分析に時間や手間がかかるだろう。

長期投資のメリット・デメリットまとめ

長期投資では銘柄の選定に時間がかかる

長期投資の手法

バリュー投資
バリュー投資とは、利益水準や資産価値に比べて株価が割安だと考えられる銘柄に投資する手法だ。米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏も、割安株の長期保有で資産を増やした。

バリュー投資では、一般的にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの投資指標を用いて割安度を判断する。ただし、市場には多くのプロが取引に参加しているため、個人が長期保有できる割安株を見つけるのは簡単ではないだろう。

インデックス投資
インデックス投資とは、低コストのインデックスファンドを長期保有する投資手法だ。インデックスファンドは、特定の指数(日経平均株価、TOPIXなど)に連動する投資成果を目指して運用される投資信託だ。

インデックス投資は、国内外の株式市場全体に投資できるのが特徴だ。投資テーマが古くならず、分散投資でリスク軽減も期待できるため、長期保有しやすい。

最近では「つみたてNISA」や「iDeCo」など、個人がインデックスファンドで資産形成ができる仕組みが整いつつある。


短期投資と長期投資を使い分けよう

短期投資は常に値動きを気にする必要があるので、初心者や多忙な人は長期投資が向いている。ただし、平日の昼間に株価をチェックする時間があるなら、短期投資で利益を積み重ねるのも一つの方法だ。

短期投資と長期投資の選択に正解はない。どちらが自分に合っているかを見極めて、うまく使い分けよう。

短期投資と長期投資まとめ

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