近年、日本では少子高齢化が進行し、年功序列制度や年金制度といった、これまで生活を支えてきた制度が見直しを迫られている。

2019年に金融庁が発表した「年金だけでは老後資金が2000万円不足する」という報告書は、「老後2000万円問題」として大きな注目を集めた。

多くの企業が60歳を定年とする中、日本人の平均寿命は80歳を超えており、特に老後のお金を備えることは喫緊の課題といえよう。

今後は政府や勤務先に頼るだけではなく、自ら資産を守り増やしていくことが欠かせない。

そのために重要なのが「資産形成」「資産運用」である。

漠然としたお金の不安があっても「資産形成や資産運用といっても何なのかよく分からない」「具体的に何をすればいいのか分からない」という人は少なくない。

大切な資産を守り増やしていくためには、正しい知識を身に着け、実際に行動することが重要だ。

本記事では、資産形成・資産運用とは何なのか、資産を増やし守るためにはどうすればいいのか、難解な専門用語を避けてわかりやすく解説する。

資産形成・資産運用とは

「資産形成」と「資産運用」という2つの言葉はよく似ているが、厳密には異なる意味を持っている。

その違いを説明できるだろうか?

資産形成とは「資産を増やしていくこと」を指し、その方法は大きく以下の3つに分けることができる。

1. 収入を増やす
2. 支出を減らす
3. 投資して増やす

仕事で昇給したり副業をするなどして収入を増やしたり、節約して支出を減らすことで、資産は増やすことができる。

さらに投資信託や株式を購入するなど、お金を投資してお金を増やすこともでき、これが「資産運用」にあたる。

つまり、資産運用は資産形成の手段のひとつといえるのだ。

資産運用にはある程度の資金が必要なため、資金がなければ資産運用を始めることはできない。

まずは資産形成をして一定のお金を貯めてから、資産運用を始める必要があるのだ。

資産形成をして一定のお金を貯めてから、資産運用を始める必要がある

貯蓄だけでは足りない!資産形成・資産運用しないリスク

お金を備えるにあたり「投資なんて難しそう」「貯金があれば平気だろう」と考える人は少なくない。

しかし貯蓄しかせず、資産形成や資産運用をしないことには一定のリスクがある。

ここではその主な2つのリスクを紹介しよう。

1. 低金利

現在の日本は、超低金利時代と言われている。

バブル期の銀行預金の金利は5~6%にものぼり、100万円を1年間預ければ、5~6万円もの利息収入を得ることができた。

しかしバブル崩壊に伴って金利は下落し続け、近年は超低金利状態が続いている。

2021年現在、銀行預金の金利は、普通預金で0.001%、定期預金でも0.002%程度にまで落ち込んでいる。

100万円を普通預金で1年間預けても、わずか10円程度の利息しか付かないのだ。

銀行預金の利率推移


出所:日本銀行のデータから表を作成 ※定期預金の利率は預金期間・預金金額別に異なる利率を統合したもの

2. インフレ

低金利と並んで見逃せないのが、「インフレ」のリスクだ。

インフレとは「インフレーション」の略で、モノやサービスの値段が上がることを指す。

今から50年ほど前、缶ジュース1本の値段はわずか50~60円程度だった。

その後1980年頃には1本100円程度になり、現在では130円程度となっている。

つまりこの50年ほどで、缶ジュースの値段は約2倍になったというわけだ。

このようにモノやサービスの値段は、時間とともに少しずつ上がっている。

これは言い換えれば、時間の経過とともにお金の価値が目減りしているともいえるのだ。

日本政府は、年2%ずつ物価が上がることを目指して、経済政策を推進している。日本は近年、物価が下がる「デフレ」傾向にあるものの、表の通り世界全体では毎年インフレしている。

各国のインフレ率

出所:IMFのデータから表を作成

貯金を使わずに大事に持っていれば安心感があるかもしれないが、実はその価値はジワジワと減っていく可能性があるのだ。

低金利やインフレに加え、少子高齢化が加速する中、社会保険料や各種税金の上昇も避けられない。賃金の上昇率は鈍化しており、資産を守り増やしていくためには、貯蓄だけではなく、積極的に資産形成・資産運用をしていく必要があるだろう。

代表的な資産運用の手段

では資産形成・資産運用をするためには、具体的に何をすればよいのだろうか。

資産形成・資産運用の手段は幅広いため、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を選択する必要がある。

ここでは、主な資産運用の手段を4つ紹介しよう。

1. 貯金

資産形成・資産運用の、最もオーソドックスな方法が貯金である。

銀行や郵便局にお金を預けることで、わずかながら利息を得ることができる。

預け先が倒産しない限りは元本が保証されており、比較的安全性の高い資産運用といえる。

ただ残念ながら、現在は超低金利の時代であるため、貯金で大きく資産を増やすことは難しい。

2. 債券

債券とは、国や企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券である。

なかでも「個人向け国債」は、国が発行しており、元本割れなしで1万円からの少額購入が可能なため人気が高い。

2021年現在、個人向け国債の金利の下限は0.05%に設定されており、定期預金よりも高い金利が期待できる。

債券には、このほかにも企業が発行する「社債」や、海外の債券「外国債」などさまざまな種類がある。

商品によっては、元本割れのリスクもあるので注意したい。

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3. 投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資し運用する商品のことである。

投資信託はファンドとも呼ばれ、集めた資金をどのように運用するかは、各ファンドによって異なる。

投資に関する専門知識がない人でも、投資信託ならば専門家に運用を任せることができるので、手軽に始めることができるだろう。

運用成績によっては、貯金や債券よりも大きく資産を増やせる可能性もある。

ただし元本保証はされておらず、運用成績によっては損をするリスクもあるので注意したい。

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4. 株式投資

株式とは、企業が事業資金を集める際に、お金を出してくれた人に発行する証明書である。

株式を購入した人は、その企業に出資する「株主」となり、株主総会での議決権や、配当金や株主優待を受け取る権利などを得ることができる。

株主となり、株式投資で利益を得る方法は、大きく2つある。

1つは株価が安い時に購入して値上がりしてから売却し、その差額を利益として得る「値上がり益(キャピタルゲイン)」である。

もう1つは、企業が利益を出した時に、株主にその利益が分配される「配当金(インカムゲイン)」を得ることだ。

また企業によっては、株主優待制度として、株主に優待券や自社製品を提供することもあり、これを目的として株式投資をする人もいる。

株式投資は値上がり益で大きく資産を増やせる可能性がある一方で、株価が値下がりすると大きな損失を抱えるリスクもある。

さらに企業が倒産すると、投資資金を失ってしまう場合もある。

株式投資は、今回挙げた中では最もハイリスクだが、成功すれば大きく資産を増やせるハイリターンな投資でもある。

株式投資で効率的に利益を得るためのテクニックとして、経済指標などを参考に相場動向を予測する「ファンダメンタルズ分析」や、過去の株価の値動きを分析して将来の値動きを予測する「テクニカル分析」などの手法も確立されている。

株式投資で資産を増やすなら、このようなテクニックを習得して活用することも検討したい。

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少子高齢化など日本の社会構造が大きく変化するなか、自ら行動して資産を守り増やしていく必要性が高まっている。

積極的に資産形成・資産運用を行い、必要な資産を確保することは、自分や家族の生活の安心を守り、人生の選択肢を広げていくことにつながるはずだ。

漠然としたお金の不安を抱えたまま、漫然とお金を浪費していく人と、正しい知識と目的意識を持って行動していく人とでは、人生の充実度は大きく異なってくるだろう。

より安心で明るい未来のために、積極的に資産形成・資産運用を始めてみてはいかがだろうか。

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