投資では、「リスク」と「リターン」の2つの言葉がよく使われる。一般的にリスクは「危険」という意味だが、資産運用の世界では意味が少し異なる。

どんな金融商品にもリスクとリターンが存在し、両者には密接な関係がある。投資で資産を増やしたいならリスクとリターンについて理解し、自分に合った金融商品を選ぶことが大切だ。


資産運用のリスクとリターンとは

リターンとは、資産運用で得られる収益のことだ。たとえば、株式の値上がり益や配当金、債券の利子などがリターンに該当する。

リスクは、資産運用においては「リターンの振れ幅」を意味する。リターンの振れ幅が大きいことを「リスクが高い」、小さいことを「リスクが低い」と表現する。

資産運用において「リスク」とは「リターンの振れ幅」を意味する。

リスクとリターンの関係

リスクとリターンは表裏一体の関係にある。リスクが下がれば損失を抑えられるが、大きなリターンは期待できない。リスクが上がると大きなリターンが期待できるが、大きな損失が生じる可能性も高まる。

金融商品によってリスク・リターンは異なるため、特徴を理解した上で投資する商品や資産配分を検討する必要がある。主な金融商品のリスクとリターンの関係について説明する。

金融商品ごとのリスクとリターンの関係

預貯金

預貯金は、銀行などの金融機関に預けている預金や貯金の総称だ。元本保証があり(元本1000万円とその利息まで)、いつでも引き出せるため、安全性や流動性が高い。また、預入金額に応じて定期的に利息を受け取れる。

ただし、低金利が続いているため、お金を大きく増やすのは難しい。2021年5月現在、一般的な銀行の普通預金金利は年0.001%(税引前)しかない。100万円を預け入れても、1年間に受け取れる利息は10円だ。

預貯金は、ローリスク・ローリターンの金融商品といえるだろう。


債券

債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行する借用証書だ。国が発行する「国債」、企業が発行する「社債」などがある。債券に投資すると定期的に利子を受け取ることができ、満期を迎えると元本が返還される仕組みだ。

債券は途中で売却することも可能だが、その場合は時価で取引されるため、元本割れの可能性がある。また、発行体の財政状態の悪化により、約束通りに元本や利子の支払いが行われないこともある。

国債は国の保証があるので安全性が高いが、社債は発行企業によってリスクは異なる。低金利で利率が低いため、預貯金と同じく大きな利益は期待できない。

2021年5月に発行される個人向け国債の適用利率は、変動10年と固定5年・3年ともに金利の下限である0.05%(税引前)となっている。


株式

株式とは、株式会社が資金調達のために発行する有価証券だ。上場株式は、証券会社を通じて売買できる。株価は変動するため、購入時より高く売却できれば値上がり益を得られる。また、継続して保有すれば、配当金や株主優待を受け取ることも可能だ。

2021年4月末現在、東証一部上場企業の株式平均利回りは2%程度だ。利回りは銘柄によって差があり、中には配当利回りが5%を超える企業もある。

ただし、元本は保証されておらず、株価の下落によって大きな損失が生じる可能性もある。収益性は高いが安全性は低いため、ミドル〜ハイリスクの金融商品といえる。


投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金を1つにまとめ、専門家が株式や債券、不動産などで運用を行う金融商品だ。運用で得られた利益は、投資金額に応じて投資家に分配される仕組みになっている。

投資信託は少額から購入でき、1本でさまざまな資産・銘柄に分散投資を行うため、リスク軽減が期待できる。

ただし、商品によって運用方針や投資対象資産が異なるので、リスクやリターンも商品ごとに変わってくる。一般的には、株式の割合が高い商品はリスクが高く、債券の割合が高い商品はリスクが低い傾向にある。

たとえば、国内株式(TOPIX)が投資対象のファンドであれば、東証一部上場企業に投資を行うため、2~5%程度の利回りが期待できるだろう。

仮想通貨

暗号資産・デジタル通貨とも呼ばれる仮想通貨は、円やドルのような法定通貨とは異なり、国による価値の保証はない。ブロックチェーン技術などによって、複数の管理者がデータを分散管理する仕組みだ。

ビットコインをはじめ、イーサリアム、リップルなど数多くの通貨が存在する。仮想通貨には配当がなく、保有するだけで収益を生み出す資産ではない。ただ、取引所のレンディングサービスや分散型金融(DeFi)の登場により、仮想通貨を貸し出すことで利息が稼げる仕組みも出てきている。利回りを示すのは難しいが、値動きが大きいため、ハイリスク・ハイリターンの商品といえる。

たとえば、2020年から2021年にかけて、ビットコインの価格は100万円台から600万円台に大きく上昇した。タイミングをうまくとらえることができれば、短期間で資産を大きく増やすことも可能だろう。ただし、大きな損失が生じる可能性もあるので注意が必要だ。


資産運用で注意すべきリスクの種類

ここからは資産運用において注意すべきリスクの種類について説明する。

投資におけるリスクの詳細解説

価格変動リスク

価格変動リスクとは、金融商品の価格が変動する可能性のことだ。株式や投資信託は日々価格が変動しているため、取引のタイミングによっては元本割れの可能性がある。

債券は満期まで保有すれば元本が返ってくるが、中途売却の場合は時価で取引されるため、価格変動リスクがある。

銘柄や通貨によって異なるが、一般的には「債券、株式、仮想通貨」の順に価格変動リスクは高まると考えていいだろう。投資信託では、価格変動リスクを測る指標として「標準偏差」が使われており、数値が大きいほど「価格変動リスクが高い」と判断できる。


信用リスク

信用リスクとは、発行体の財政状態の悪化などにより、債務不履行が発生するリスクのことだ。

株式の場合、投資先企業の倒産によって投資したお金を失う可能性がある。債券は国の財政破綻や企業の業績悪化により、元本の払い戻しや利子の支払いが遅れたり、できなくなったりすることがある。

債券では、信用リスクを測る指標として「格付け」が使われる。格付けが高い債券ほど、債務不履行のリスクは低いと判断できる。株式の場合は、決算資料などで投資先企業の業績や財務内容を定期的に確認することが大切だ。


流動性リスク

流動性リスクとは、保有中の金融商品を期待される価格で売却できなくなるリスクのことだ。市場規模や取引参加者が少ないと、買い手を見つけるのが難しくなる。たとえ買い手が見つかったとしても、著しく低い価格で売却することになれば大きな損失が生じるだろう。

株式の流動性を判断するには、出来高に注目するといいだろう。出来高とは、一定期間内に売買が成立した株数のことで、出来高が多いほど流動性が高いと判断できる。

また、粉飾決算などが理由で上場廃止が決まった銘柄は「整理ポスト」に割り当てられる。整理ポストの銘柄は約1カ月で上場廃止となり、取引所で取引ができなくなるので注意が必要だ。

為替リスク

外国の株式や債券などの外貨建て資産は、為替相場の変動によって円換算したときの価値が変動する。購入時より円安になると為替差益を得られるが、円高になった場合は為替差損が生じる。

たとえば、1ドル=100円のときに100万円(10000ドル)投資する場合、1ドル=105円(円安)になれば、資産は105万円(10000ドル×105円)に増える。しかし、1ドル=95円(円高)になると、資産は95万円(10000ドル×95円)に減ってしまう。


カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象国や地域の政治・経済状況の変化によって資産価値が変動する可能性のことだ。一般的には、先進国よりも新興国のほうがカントリーリスクは高い傾向にある。

カントリーリスクの詳細は、格付け機関などが債務の支払い状況や経済情勢などに基づいて評価しているので、公開されている情報やリストを確認するといいだろう。


投資の初心者がリスクを下げ最大のリターンを得るためにすべきこと

投資の初心者がリスクを下げ最大のリターンを得るためにすべきこと

初心者がリスクを軽減しながら最大のリターンを目指すには、分散投資が有効だ。複数の資産に投資先を分散させることで、特定の資産が値下がりしても、他の資産の値上がりで損失をカバーできる。

分散投資には以下3つの考え方がある。

  • 資産の分散:株式、債券など複数の資産を組み合わせる
  • 地域の分散:複数の地域や通貨を組み合わせる
  • 時間の分散:積立投資で購入タイミングを分散させる

資産運用の初心者は投資信託から始めるのが良いだろう。投資信託は少額から国内外の資産に分散投資ができ、積立投資にも対応している。

どんな投資信託を選べばよいかわからない場合は、つみたてNISAの対象商品から選ぶと良い。金融庁が長期の積立・分散投資に適した投資信託を厳選しているため、初心者でも安心して投資できる。

短期の値動きに一喜一憂せず、投資信託の積立投資を長く続けることを心掛けよう。

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