米議会のテロおよび不正融資に関する小委員会が、仮想通貨によるテロ資金調達の様々な手法ついて議論したようだ。下院金融サービス委員会の7日の公式プレスリリースで判明した。

テロリストによる資金集めの脅威や手法を監視するため、小委員会の公聴会では資金移動の主な手段が検討された。従来の金融機関や、イスラム圏の送金システムであるハワラ制度といった準公的手段、それに仮想通貨だ。

アルカイーダやイスラム国などのテロ組織はどこも仮想通貨による資金調達を試みているが、大きな成功は収めていないようで、議会の会合でもそう結論付けられた

米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の制裁・不正融資センターの分析責任者であるヤヤ・ファヌージ氏は、大部分のテロリスト、特に「ジハードの戦場」にいる者は仮想通貨が使える環境にはおらず、物品の購入には法定通貨が好まれていると強調した。

ファヌージ氏は、法定通貨が最も匿名性の高い資金調達方法であり、テロリストの間でよく使用されていると特に言及している。

仮想通貨は「ジハーディストにとって使い勝手が悪く」、「現金が今でも一番」だと同氏は強調する。しかし同時に、フォーブス誌の記事によれば、「テロリストによる仮想通貨の資金調達キャンペーンの例が複数ある」とも認めている

仮想通貨によるテロ資金調達キャンペーンが成功する可能性に対抗するため、テロ資金の調査を担当する米政府機関は仮想通貨取引の分析能力を向上させるべき、とファヌージ氏は言う。

「テロリストによる仮想通貨の利用増に今備えることで、米国は、デジタル通貨市場が不正融資の聖域になってしまうのを制限することができる」

現時点で同氏は、ここ数年で資金洗浄防止(AML)や顧客確認(KYC)のポリシーを大幅に強化している大手の取引所ではなく、代替トークンや「プライバシーコイン」を扱っている小規模な取引所に注目すべきと考えているようだ。

今年、リスク管理の大手レクシスネクシスはブロックビッド取引所と提携し、「Trade with Confidence」という取引所向けのセキュリティソリューションを導入した。これは、テロリストによる資金調達などの不正活動を防ぐことを意図している。

今年1月、下院金融サービス委員会のテッド・バッド下院議員(共和党、ノースカロライナ州)は、仮想通貨を使ったテロ活動の有罪判決につながるような情報に報酬を与えることで、テロと戦うことを目的とした法案を提出している。