世界最大のステーブルコイン発行体であるテザーは、米国債保有額でドイツを上回った。

テザーの2025年第1四半期のレポートによれば、同社は発行するステーブルコインUSDTの裏付け資産として1200億ドル超の米国債を保有している。これは、米財務省のデータに基づけば、ドイツの1114億ドルを上回る水準だ。さらにテザーは世界全体で第19位の米国債の投資主体となる。

「この節目は、当社の保守的な準備資産運用戦略の堅牢性を裏付けるとともに、ドル建て流動性をグローバル規模で供給するというテザーの役割が拡大していることを示している」と、テザーは報告書で述べている。

米国債は、米政府が発行する債券であり、世界でも最も安全かつ流動性の高い投資対象とされる。テザーはこれをUSDTの準備資産として組み入れており、ステーブルコインの信頼性強化に活用している。

2025年Q1の変動相場にも耐えた伝統資産

テザーの報告書によれば、同社は2025年第1四半期に、米国債や金といった「伝統的な投資」から10億ドル超の利益を計上した。

「米国債の堅調なパフォーマンスが利益を牽引した一方で、金の収益は仮想通貨市場のボラティリティによる損失をほぼ相殺した」と報告書では書いている。

米国におけるステーブルコイン規制の明確化が進めば、テザーのドル建てステーブルコインへの投資もさらに加速すると見られている。その一部は、さらに米国債の積み増しに充てられる可能性がある。

現在、業界は2つのステーブルコイン関連法案の行方を注視している。1つは「STABLE法案(Stablecoin Transparency and Accountability for a Better Ledger Economy)」で、これは4月2日に下院金融サービス委員会で賛成32、反対17で可決されたのち、本会議での審議・採決を待っている

もう1つは「GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins)」で、こちらは5月8日に民主党議員の支持を得られず、審議が停滞している

民主党の一部議員は、トランプ米大統領の親族がデジタル資産ビジネスに関与していることを理由に、仮想通貨に関する規制緩和が大統領の利益相反につながると念している。

一方、5月14日には、60名以上の仮想通貨起業家がワシントンD.C.に集結し、GENIUS法案への支持を表明した。この法案では、ステーブルコイン発行者に対する担保管理の基準策定や、マネーロンダリング対策の準拠が求められている。

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