ドナルド・トランプ米大統領の家族による支援を受けるビットコイン(BTC)採掘企業アメリカン・ビットコインは今月初め、仮想通貨採掘向けの専用ハードウェアであるASIC(特定用途向け集積回路)を最大1万7,280台まで購入できるオプションを行使した。
TheMinerMagによると、同社はビットメインからアントマイナー U3S21EXPHを1万6,299台購入。これにより14.02エクサハッシュ/秒(EH/s)の処理能力を追加で確保し、総額は約3億1,400万ドルにのぼる。
この契約には、トランプ政権が導入した大規模な関税および輸入税による将来的な価格上昇は反映されておらず、中国で製造されたビットメイン製採掘機に対する追加コストの影響を受けない条件となっている。
こうした関税圧力を受け、ビットメインは2025年末までに米国で初となるASIC製造施設を開設する方針を発表した。さらに、フロリダ州またはテキサス州のいずれかに米国本社を設ける計画も明らかにしている。
貿易関税やその他のマクロ経済的要因は、ビットコイン採掘のサプライチェーン全体に大きな影響を及ぼしており、マイナーやハードウェアメーカーは経済環境の変化に対応するため戦略の見直しを迫られている。
関税と経済不確実性に直面するマイニング業界
米国の追加関税は、主要なマイニングハードウェアメーカーに対し、製品の一部または全部の製造拠点を米国内に移転することを検討させるきっかけとなっている。これにより、輸入税の回避を図る動きが広がっている。
ケンブリッジ大学の調査によると、世界のビットコイン・マイニングハードウェアの99%以上は、ビットメイン、マイクロBT、カナンの3社によって製造されている。
中でもビットメインは約82%の市場シェアを誇り、他を大きく引き離している。
トランプ政権が掲げる「米国内への製造回帰」政策としての貿易関税は、賛否両論を呼んでいる。
批判的な声としては、これらの政策は長期的にインフレを引き起こす可能性があり、逆効果になりかねないという指摘がある。BTCマイニング企業ハッシュラボのCEO、ジャラン・メレルド氏は、関税による価格上昇が米国マイナーの需要崩壊を招くおそれがあると述べた。
「需要が崩れれば、ASICメーカーは在庫を抱えることになり、それらを他国に安く輸出することになる」とメレルド氏は語る。
結果としてマイニング事業が再び海外へと流出し、米国のマイナーが競争力を失う可能性がある。これは、仮想通貨産業を米国に呼び戻そうとするトランプ政権の方針と矛盾する展開となる。
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