6月30日、ロシアでイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の実施を目指す最初の仮想通貨投資銀行が立ち上げられた。またロシア政府は今週、仮想通貨・ブロックチェーン関連の大型規制法案を可決する見込みだ。

 一方、東欧からはさらに多くのニュースが来ている。先週ポーランドの仮想通貨団体であるポーランド・ビットコイン協会(PBS)は政府に苦情を申し立て、同国内の15社の金融機関が、仮想通貨プラットフォームへのサービスを故意に拒否しその銀行口座を選択的に閉鎖することで、この産業の妨害していると批判した。

 この地域の仮想通貨規制を取り巻く複雑さの中を渡り歩くために、ロシアからマケドニアまで、大半の東欧諸国をカバーするガイドをここに示す。

以下のリストは綿密なニュース報道の調査に基づいているが、決して完全なものとは言えない。自国での銀行と仮想通貨の関係についてより詳しい情報を持っているならば、コメント欄で共有してほしい。

仮想通貨・ブロックチェーン規制概況のアジア版南北アメリカ版欧州版アフリカ版はこちら。

Regulation Map

 

Russia

ロシア

 規制

 ロシア政府はビットコインと仮想通貨に対して混沌とした態度を示し続けており、それを全面禁止する法律を提案した後、それらの発言を撤回している。しかしウラジーミル・プーチン大統領が仮想通貨規制開始の決断を発表するとすぐに実際の法案が提出され、最近国家院の第一読会を通過した。正式な確認はまだとれていないが、この法案は7月1日に発効される見込みだ。

 第一党である統一ロシアに所属し立法作業委員会の委員長を務めるパヴェル・クラシェニンニコフ氏が現地メディアに対して行った説明によると、この法案の最初の狙いは「倒産詐欺や犯罪による収入の適法化、あるいはテロ集団の支援のために、デジタルな物を使って規制されていないデジタル環境に資産を送るという既存の危険性を最小限に抑える」ことだという。

 この法案は現地の専門家から批判を受けていた。そのため、国家院のデジタル経済及びブロックチェーンに関する専門家チームのメンバーであるイーゴリ・スデッツ氏は、この法案が完全に承認されればロシアでICOを行おうとは「誰1人思わないだろう」とさえ述べた。この法案では以前、1つのICOでは1人当たり5万ルーブル(約8万8000円)より多くの投資はできないと提言されていた。現行版の法案ではこの制限は削除されたが、ロシアにおけるICOの未来は未だ不透明だ。5月24日には、同国最大の国有銀行であるズベルバンクと証券保管振替機関(NRD)が、ロシア銀行のサンドボックス制度を用いた同国初の公式ICOの試験を発表した。これは同国内でのICO市場がどのようなものになるかを明らかにするはずだ。

 同様に6月30日には、ロシアの大手決済サービス会社、キウィの子会社であるキウィ・ブロックチェーン・テクノロジーズ(QBT)が「HASH」という仮想通貨投資銀行を立ち上げたと報じられた。HASHはICOのプラットフォームを提供する予定だ。QBTの最高財務責任者(CFO)によると、同社は既に10社のファンドと連携しており、そのうち最大のファンドの売上高は約1億ドルで、必要なライセンス取得後の来年には仮想通貨取引サービスを提供する予定だという。

 従って、前述の仮想通貨法案が施行された場合、仮想通貨とトークンは共に資産となり、発行元が1つ(トークンの場合)か、あるいは様々な発行元/マイナーがいる(仮想通貨の場合)かが、仮想通貨とトークンの重要な相違点となる。さらに、マイナーの排出目標も定められる。電気料金が基準を超えると、マイニング活動は事業とみなされ、関係当局への登録が必須となる。最後に、同法案では次のように断言されている。

「ロシア連邦の領土内では、デジタル金融資産は合法な支払い手段ではない」

ブロックチェーン

 どうやらロシアはこの技術に関する大きな計画を持っているようだ。17年のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、イーゴリ・シュワロフ第一副首相は、ブロックチェーンについてのロシアの野心を明らかにした。

「ブロックチェーンは今や最重要任務だ。大統領はこのアイデアに全く病みつきになっており(…)大きな成長率はデジタル経済と技術的リーダーシップに基づくと理解している」

 ロシアは17年末までに、国営のスベルバンクとロシア連邦反独占局(FAS)が協力して同技術を使った文書の転送と保管を実施したことで、最初の政府レベルのブロックチェーン導入を正式に完了した。

 5月16日には、ズベルバンクがブロックチェーンを基盤とした同国内で初めてのコマーシャルボンドの取引を行ったと報じられた。この取引は、ロシアの大手通信事業会社MTS及び証券保管振替機関(NSD)との協力で完了した。

Poland

ポーランド

 規制

 ポーランドは仮想通貨の取引とマイニングを正式に認めている。しかし国が資金を出した疑問点のあるソーシャルメディア上での反仮想通貨キャンペーンによって、仮想通貨への見解は進歩主義的なものから多少懐疑的なものに変わっている。

 同国と仮想通貨の関係は13年に始まった。当時ワルシャワ経済大学(Szkoła Główna Handlowa)で開催されたビットコインの合法性に関するセミナーで、ポーランドの財務省は次のように述べたと伝えられている。

「禁止されていないものは許可されている。しかし、もちろんビットコインは法定通貨だとはみなせない」

 その後の15年には、ポーランド財務省が同国内での仮想通貨規制の可能性に関する声明を出した。この変化はEUと同調するかもしれず、あるいは事態が緊迫している様であれば単独で導入されるかもしれないと示唆された。この声明では次のように述べられている。

「(いかなる規制措置も)この事業の越境的な性質を視野に入れたEUレベルでのイニシアティブの結果か、仮想通貨市場の失敗への恐れの結果として、取られるべきだ」

 16年には、同政府は寛容なアプローチに傾いたようだ。ポーランド中央統計局(GUS)は、仮想通貨の取引とマイニングは現在「公式な経済活動」とみなされており、この分野に関わる企業は公式な登録を得られるだろうと述べた。

 しかしNBP(ポーランド国立銀行、中央銀行)は2月15日、疑問点のある「啓蒙キャンペーン」に資金を出し、反仮想通貨の寸劇に現地ユーチューバーを採用していたと認めた。ポーランドの別の金融規制当局である金融監督局(KNF)は最近、より多くのこうしたソーシャルメディア・キャンペーンに出資すると決定した。

 しかし、ポーランドの財務省は最近、より賢明な規制と引き換えに仮想通貨への課税を緩和すると約束した。ポーランド・ビットコイン協会(PBA)は既に競争・消費者保護庁(OCCP)に対し正式な苦情申し立てを行っており、現地の銀行が仮想通貨団体へのサービスを故意に拒否し、少なくとも25社の仮想通貨関連企業の口座を選択的に閉鎖したと主張している。この声明には次のように記されている。

「仮想通貨団体の活動は合法で品位をもって行われているにもかかわらず、記載された銀行の行為による結果は、明らかにそれらの団体を市場から排除することを狙ったものだ…上記を踏まえると、規制当局による行動は必要不可欠であり、この申し立てと要求には十分な裏付けがある」

ブロックチェーン

 ポーランドは完全にブロックチェーン支持派だということが分かっている。それゆえポーランド・ブロックチェーン技術促進機構(PATB)は18年1月、同団体のチームの1つが国内でデジタル化された国家仮想通貨であるデジタル・ズウォティ、dPLNの開発に取り組んでいると明らかにした。dPLNの創設者であるクシシュトフ・ピエヒ氏はコインテレグラフに対し、そのプロジェクトがブロックチェーンを基盤とするものだと認めた。

 さらに3月には、ポーランドの大手銀行であるPKOバンク・ポルスキが、トルデータムというツールを介したDLTを基盤とする銀行文書向けの保管・検証システムを提供するために、ブロックチェーン企業のコインフィルムと提携したと発表した。最後に、ポーランドの信用情報機関であるビューロ・インフォルマーチ・クレディトーヴェ(BIK)は5月、顧客データ保管向けのブロックチェーンを導入するため、英フィンテック企業のビロンと提携した。

Ukraine

ウクライナ

 規制

 政情不安な時代だった14年、マイケル・チョーバニアンという実業家が、フリヴニャ(ウクライナの自国通貨)とビットコインを両替する同国内初の会社を開業した。同氏は自身の行動を次のように説明した。

「国内には法も秩序もなく、従って規制もない。ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領とその一族は電子決済市場に関心を持ち、権力を乱用して市場を独占し他者の参入を禁じた。今や彼はいない。これからウクライナは仮想通貨の避難所だ。だれも止められないし、止めるつもりもない」

 最近、(少なくとも同国内の大部分で)情勢がかなり平穏になるにつれ、ウクライナが仮想通貨合法化のための法案を準備していることを示唆する報道が出始めた。ウクライナの安全保障協議会は18年1月に会合を開き、同国内における「未統制の仮想通貨流通に関連する複雑な問題を検討した」

 さらに、ウクライナ議会のアレクセイ・ムシャク議員は5月15日、グーグル・ドキュメント上にある法案書類のコピーへのリンクをフェイスブックで公開し、仮想通貨市場への規案の条項について仮想通貨支持者らの意見を求めた。

「ウクライナ国内でデジタルトークンと仮想通貨のための環境を整える作業が大詰めを迎えた。これは多くの人々による、多くの会合と努力の成果だ。解決すべき微妙な点は多く残されている。最終法案は2週間で準備が整うだろう」

 ウクライナ政府は、武器取引といった不法行為の手段としても仮想通貨に言及している。現地警察は11月、大規模なマイニング活動が行われていたキエフにあるクヴァザールの半導体工場を強制捜査した。同警察は機器の押収後、ロシアの銀行との繋がりが見つかったと報告し、収益がドネツィク及びルハーンシク地域の分離主義者への資金援助に使われた疑いがあると主張した。

 同様にこの1カ月前には、ウクライナ保安庁の武装職員が、ロシア語の大手仮想通貨ニュースサイトであるフォークログのオデッサのオフィスに押し入ってコンピューターとハードディスクを押収し、フォークログがドンバスの分離主義者に資金を供給するために仮想通貨を使っていると主張した。

 ブロックチェーン

 ウクライナ国立銀行(NBU)は1月、自国通貨であるフリヴニャのブロックチェーンを基盤としないデジタル版の導入を「検討している」と述べたが、この提案中のeフリヴニャがブロックチェーンを基盤とする可能性については、まだ議論の余地があるとも指摘した。

 これとは別に、ウクライナの電子政府機関は17年8月、ブロックチェーン上で外国人投資家に不動産を販売する試験的計画を立ち上げた。同機関の責任者であるオレクサンダー・ルジェンコ氏はプレスリリースで、「包括的なブロックチェーン・エコシステムの確立において、ウクライナを世界有数の国家にすることが我々の目標だ。そして我々のブロックチェーン戦略全体において、不動産部門は重要な構成要素だ」と主張した。

 ビットフューリー・グループは以前、ウクライナ政府との提携を発表している。ウクライナ政府の電子サービスに様々なブロックチェーン・ソリューションを提供することを目指した提携だ。また報道によると、ウクライナ政府はブロックチェーンを基盤とする世界初の政府オークションを主催したという。

Belarus

ベラルーシ

 規制

 ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は12月、ブロックチェーンと仮想通貨への国家的な支援を示す「非常にリベラルな」法案に正式に署名した。この法令はブロックチェーンを基盤とする事業や、仮想通貨とデジタルトークンに関連した活動を合法化するものだ。この結果、仮想通貨に制限を課すことでそれを規制する他の国家とは異なり、ベラルーシではマイニングや取引活動は「事業活動」としては扱われない。従って、それらは源泉徴収税の対象ではない。この法令の2.2条には次のように記されている。

「自然人はトークンを所有する権利を有し、また、この法令で定められた固有の特徴を鑑み、以下の活動を行う権利を有する:マイニング、仮想ウォレットへのトークンの保管、トークンと他のトークンとの交換、ベラルーシ・ルーブル、外国通貨、電子マネーでのトークンの取得や譲渡、そしてトークンの寄付や遺贈」

 加えて、ベラルーシには長い免税期間があり、23年1月1日までは仮想通貨取引による収入の申告は任意である。

 この法令の大部分は、シリコンバレーの現地版であるハイテク・パーク(HTP)という経済区を中心に展開されている。HTPは同国内の仮想通貨事業者の中心地になることを目指している。しかしながらコインテレグラフは以前、ベラルーシの銀行は仮想通貨を取り扱うインフラを現在持っていないと報じており、HTPの存在は現時点ではいくぶん無意味なものになっている。

Estonia

エストニア

規制

 エストニアは仮想通貨技術の支援と開発を大いに重要視しているが、同国の仮想通貨へのアプローチは、より古典的なもののようだ。エストニア最高裁判所は16年、ビットコインの仲介はアンチ・マネーロンダリング監視の対象となる経済活動だという判決を下した。これは仮想通貨に関わるすべての当事者が、AML(反マネーロンダリング)とKYC(本人確認)手続きに従わなければならないことを意味する。さらにエストニア金融監督庁(EFSA)は、仕組み次第ではトークンは証券とみなされ得ると意見を述べた

 ブロックチェーン

 エストニアは大規模なデジタル化事業を継続している。14年には政府による電子居住プログラムが実施され、この事業は新たな段階に達した。この電子居住プログラムでは、基本的に世界中のあらゆる個人がオンラインで申請書を提出し仮想的なエストニア国民になれる。このデジタル国民は、エストニア経済の基盤となっているオンライン・プラットフォームや同国内の住民が使っているものと同じオンライン公共サービスを利用できる。

 ブロックチェーンを採用することで、エストニアは国政選挙時にオンライン投票システムを導入できるようになったが、このシステムで投票できるのは実際の住民のみだ。同国は公共医療サービスを含む、ブロックチェーンを用いた様々な公共サービス事業にも取り組んでいる。

 エストニアは一時期、エストコインという独自のデジタル通貨の立ち上げも検討していた。エストニアの電子居住プログラムの責任者であるカスパル・コルジス氏がこのアイデアを提案した。この通貨は特に、エストニア国民が世界中のあらゆる場所から遠隔的に文書を公証する助けになるはずだった。しかしこのニュースが欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁に伝わると、同氏は即座にユーロ圏内では自国通貨は機能しないと指摘した。同氏は次のように述べた。

「どの加盟国も独自の通貨は導入できない。ユーロ圏の通貨はユーロだ」

ドラギ氏の発言後、エストニア政府はエストコインの開発を停止したと報じられている。

Latvia

ラトビア

 規制

 ラトビアでは、仮想通貨は法定通貨だと見なされていない。報道によると、ラトビア中央銀行の支払システム政策部門の責任者は17年、「仮想通貨は通貨の機能を効果的に果たすことができない」と主張し、利用者にそれらを無視するよう促した

「我々はまだ、仮想通貨は通貨の機能を効果的に果たすことができず、リスクの高い契約上の支払い手段にはなれないと考えている。ラトビア銀行は、自然人も金融機関もそれらを用いた活動に携わらないよう奨める」

 しかしながら、ラトビア財務省職員は先月、同国は将来的には仮想通貨取引にキャピタルゲイン税を課し始めるかもしれないと述べた。同国のキャピタルゲイン税の税率は現在20%だ。しかしこの計画には、現行のラトビア税法を変える必要がある。

 仮想通貨の規制もラトビア議会で議論された。金融・資本市場委員会(FCMC)は、仮想通貨にまつわる取引や投資は非常にリスクが高いと強調した。

報道によると、ラトビア政府は作業部会を立ち上げており、7月までに仮想通貨の規制方法に関する提案が準備されるはずだという。

 ブロックチェーン

 ラトビアは、経済の拡大と発展を目指すエストニア、ラトビア、リトアニアの各省庁の連合である覚書(MOU)の一員だ。この活動には、資本市場でのイノベーションを育むためにブロックチェーンを推進することが含まれている。

 MOUには次のように記されている。

「エストニアの省庁、ラトビアの省庁、リトアニアの省庁は、バルト諸国の国境を越えた課題に取り組むための、より強力な制度的枠組みと資本市場の発展の重要性を認識している。(…)(そして)分散台帳技術のような地域的なフィンテック・ソリューションに配慮しつつ、新技術と資本市場におけるイノベーションの発展を支援する」

Lithuania

リトアニア

規制

 報道によると、リトアニア銀行は仮想通貨を調査し始めており、市中銀行、政府規制当局、仮想通貨トレーダーとの対話を開始している。この目的のために、同中央銀行は仮想通貨円卓会議を開催した。

 この会議の参加者の1人であり、リトアニア銀行のフィンテック戦略調整官であるエカテリーナ・ゴービナ氏は次のように述べた。

「ICOを実施している人々や、仮想通貨を従来の通貨に換金している人々と銀行が話し合う必要がある。対話は成立しているが、どこに向かうかはまだ分からない」

 リトアニア中央銀行は17年10月10日、ICOと仮想通貨に対する立場を明確にする文書を出した。この文書では、金融市場の参加者は自身の金融活動を仮想通貨にまつわるものから分離すべきだと述べられている。

 しかしながらバルティック・タイムズによると、リトアニア中央銀行は従来の金融サービスと仮想通貨に関連した活動の「明確な分離」を求めたが、「欧州のフィンテック中心地」になるという目標の一環として、同銀行は英語でのライセンス申請書を受け付け「安価で素早くライセンスを発行する」(明らかにICOに向けたものだ)という。

ブロックチェーン

 リトアニアは、経済の拡大と発展を目指すエストニア、ラトビア、リトアニアの各省庁の連合である覚書(MOU)の一員だ。この活動には、資本市場でのイノベーションを育むためにブロックチェーンを推進することが含まれている。

Czech Republic

チェコ共和国

 規制

 チェコ共和国は仮想通貨に対するリベラルなアプローチに傾いているようだ。その結果チェコ国立銀行は17年、仮想通貨は従来の銀行システムにとって脅威ではないと断言した。同行は「ビットコインを恐れるな」という声明を出し、仮想通貨には法定通貨と同等の価格安定性がないため、法定通貨は依然として最も商取引に適しており、仮想通貨によって従来の貨幣制度が無用な扱いを受けることは無いと意見を述べた。

 しかし財務省は17年末までに、ビットコインを規制するアンチ・マネーロンダリング法を提出した。この法案は顧客の身元を公開するよう仮想通貨取引所に求めるもので、「偽名やあだ名の陰に隠れる」ことはもはやできなくなる。財務省は、仮想通貨は犯罪活動や脱税と関連しているかも知れないと意見を述べた。

Croatia

クロアチア

 規制

 ビットコインとアルトコインは現在クロアチアの法定通貨ではないが、合法的に使用できる。報道によると、仮想通貨にはキャピタルゲイン税(12 %及びザグレブの付加税が18%)がかかるが、どう支払うべきかの公式な指針はないという。

 しかし、近い将来状況が変わる可能性が高い。クロアチア・ブロックチェーン及び仮想通貨協会(UBIK)という自主規制団体が2月に登場した。同協会の目的は、仮想通貨コミュニティを作り出し、大衆を啓蒙し、クロアチアにおける規制の進展を支援することだ。

 UBIKの理事会は、キャピタルゲインとしての仮想通貨の課税、ICOの規制、仮想通貨マイニング企業の事業を含む議題について話し合うため、クロアチアの中央税務局と会談した。噂によると同政府機関は、解決策の模索に率直に加わる意欲を見せたという。

 ブロックチェーン

 UBIKの二コラ・シュコリッチ氏は、ザグレブ証券取引所が関係しているブロックチェーンを基盤とした企業は、クロアチアではなくエストニアの法人を使う必要があると意見を述べた。彼らの国には明確な仮想通貨の立法府が無いことがその理由だ。

「この技術に取り組むことができる専門家のデータベースを拡げ、知識と技能のプールを作るために、新興企業がクロアチアの企業として登録され、集められた資本が直接クロアチアに来ることを望む。(...)それによってブロックチェーンに取り組む業界は強化される」

Bulgaria

ブルガリア

 規制

 ブルガリアでの仮想通貨の法的立ち位置は不透明だ。現地のブログによると、ブルガリア国家歳入庁は、仮想通貨の取引による個人所得は他の金融資産の売却と同様に毎年確定申告しなければならず、税率は10%だと述べたという。

 ブルガリアの警察は今年、ワンコインを摘発した。ワンコインとは自らを「メンバーの安全を守り、AML(アンチ・マネーロンダリング)の順守を保証する中央集権モデル」だと宣伝している怪しげなアルトコインだ。しかし非中央集権化されておらず、オープンソースのソフトウェア上で動いてもなく、公開台帳もないため、仮想通貨の定義からは外れる。同警察はドイツのビーレフェルトにある検事局からの要請を受けてソフィアに位置するワンコインのオフィスを強制捜査し、書類やサーバーを押収した。

 昨年末には、ブルガリアの犯罪執行機関と南東欧法執行センターは、地下犯罪組織を秘密裏に捜査し、同国の借金の1/5を清算するに十分な量のビットコインを押収している。

Slovakia

スロバキア

 規制

 スロバキア国立銀行は13年、ビットコインは「通貨の法的な属性を持っていおらず」、自分たちの権限の範囲外だと述べた。最近、同国での仮想通貨の立場に関するニュースが増えている。

 スロバキアのペテル・カジミール財務大臣は1月上旬、仮想通貨への課税に注目し始めることを国が望んでいると述べた。ブルームバーグの報道によると、財務省は迅速に行動して申告期限の4月3日より数日早い3月下旬に包括的なガイダンスを発行し、「あらゆる種類の取引、例えば仮想通貨と資産の交換」あるいは「他の仮想通貨との交換を含む、支払済みの振り込みや提供サービスとの交換」は課税売上げとみなされると付け加えた。

 報道によると、申告期限を守るのが難しい人には3カ月間の延長を申請する機会が与えられたという。

Slovenia

スロべニア

 規制

 現時点でスロベニアには仮想通貨への明確な規制はない。しかしスロベニア金融安定理事会は17年10月、スロベニア国民に警告を出し、この分野を取り締まる法律はないためICOやデジタル通貨への投資には注意を払うよう忠告した。

ブロックチェーン

 スロベニア政府は17年10月、自国を欧州連合におけるブロックチェーン技術の主要な到達点と位置付けるための計画を発表し、同時に行政機関における同技術の利用可能性についても調査した。17年10月中旬に開かれたデジタル・スロベニア2020における演説でミロ・ツェラル首相は、自国の規制当局と省庁は既にブロックチェーンを研究していると述べ、政府は同技術を全面的に支援しているとも語った。

「従って、スロベニア全体がブロックチェーンに優しい到達点であろうとしており、そのために、情報の伝達と拡散、法規制の採用、ブロックチェーン技術分野に取り組む企業の発展のための支援的環境の促進という領域で、国家的なブロックチェーン・エコシステムという柱を打ち立てている」

Moldova

モルドバ

 規制

 モルドバ国立銀行は、ボラティリティの問題で金銭を失うことや、詐欺のリスクといった、仮想通貨にまつわるリスクをモルドバ国民に再三警告している。NBMの公式サイトには次のように記されている

「仮想マネーの使用はモルドバでは規制されていない。(仮想通貨)は、支払サービス及び電子マネー法における電子マネーの1種ではなく、(デジタルコイン)の発行とそれらの取引は管轄官庁による管理を受けていない」

 ブロックチェーン 

 ロイターの報道によると、国連開発計画(UNDP)は今年、仮想通貨を資金源とした再生可能エネルギーでモルドバ工科大学に電力を供給するために、ブロックチェーンを基盤としたプロジェクトを立ち上げる予定だ。この計画は本質的には、ブロックチェーン新興企業であるエレクトリックチェーンが立ち上げた仮想通貨ソーラーコインを使って、人々が太陽電池を購入しそれを同大学に貸し出せるようにするものだ。

 モルドバはさらに、ブロックチェーンを利用して同国内で大きな問題となっている児童売買に取り組む計画だ。国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)のデジタル身元確認専門家と現地住民は9月に会合を開き、児童を搾取から守るための同技術の使い道を議論した。

 このようにブロックチェーンは、変えることのできない指紋のようなバイオメトリック情報に基づいた、紙を使わない身元証明を人身売買業者に伝えるために使うことができる。UNOPSのブロックチェーン特別顧問である山本芳幸氏は次のように説明した。

「信頼出来る身元管理システムを構築したいならば、何か不変のものに基づいていなければならない」

Romania

ルーマニア

 規制

 最初のビットコインATMは、早くも14年にはルーマニアに登場していた。当時、財務省職員は「ビットコインにはいくらか先入観があるが、時には法的枠組みが無いこともあり、後になって初めて会計上の枠組みの必要性を分析することになるだろう」と述べていた。

 どうやら、より詳細なコメントを思い付くのに約3年かかったようだ。ルーマニアのビジネス環境・貿易・起業大臣であるイラン・ローファー氏は17年、仮想通貨への信頼を表明したが、この分野は公式に規制されるべきだと指摘した。

「これは銀行システムとっての課題だ。この分野はあまりよく規制されておらず、私は規制されるべきだと考えているからだ。多くの金銭が行き交う分野であるが、新技術でもある」

Hungary

ハンガリー

 規制

 仮想通貨に関する明確な公式の指針はない。しかし同国は仮想通貨ユーザーがマイニングや取引の税金を支払うことを期待しているようで、22%の健康保険料と15%の所得税を支払う義務がある。

 ハンガリー政府は17年3月、国際的なAML規制に従い、容疑者の仮想通貨を没収できるようにする新たな刑事手続法を成立させようとしていた。この法案は監視社会を立法化するものとみなされ、専門家から批判を受けていた。しかしながら、その後この法案に関するニュースはない。

 ブロックチェーン

 2月には、ブロックチェーンを基盤としたコロナというハンガリーの仮想通貨が公開された。コロナの開発者は、仮想通貨の9割は偽通貨だが、コロナは実際に取引に適していると主張した。しかし同通貨の製作チームはスイスでの運営を選んだので、この通貨は国家的なものではないようだ。

Serbia

セルビア

 規制

 17年後半のビットコイン急騰時、セルビア国立銀行(NBS)はビットコインを取引している人々に、それにまつわるリスクを認識するよう警告した。NBSは次のように述べた。

「良く知られているように、仮想通貨とビットコインは、セルビア共和国では法的に規制されておらず支払い手段だとみなすことはできない」

 NBSは財務省にもコメントを出して議論に加わるよう要請していたが、同省はこの件について沈黙を守っている。

 「ブロックチェーン技術が繁栄できる環境をつくる」ことを目標とした、ベオグラードに拠点を置くセルビアン・ブロックチェーン・イニシアティブという団体がある。しかし現時点では同団体の成果について明確な情報はない。

Albania

アルバニア

 規制 

 アルバニアの中央銀行は17年に声明を出し、仮想通貨にまつわる複数のリスクを列挙して仮想通貨への規制の枠組みが無いことを認めた。そのため、アルバニア政府は仮想通貨についてかなり否定的な立場を取っているようだ。

「アルバニア銀行は、仮想通貨の利用に関係した活動をしている金融業者に認可を与えることは無い。結果としてアルバニア共和国でそうした活動に関わっているすべての企業は認可を受けておらず、その活動はアルバニア銀行の規制と監督の枠組みを順守していない」

Macedonia

マケドニア

 規制

 ビットコイン(そして恐らく他のアルトコインも)はマケドニアでは違法だ。マケドニア国立銀行のデミテル・ボゴフ総裁は14年、ビットコインを「バブル」だと言い、次のように付け加えた。

「マケドニアでは、現金・非現金による支払いの法律上の手段はデニールだ。国際決済業務は銀行が行っている。従って、ビットコインの使用や取引は違法だ」

仮想通貨・ブロックチェーン規制概況のアジア版南北アメリカ版欧州版アフリカ版はこちら。