東欧各国の仮想通貨・ブロックチェーン規制状況

 6月30日、ロシアでイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の実施を目指す最初の仮想通貨投資銀行が立ち上げられた。またロシア政府は今週、仮想通貨・ブロックチェーン関連の大型規制法案を可決する見込みだ。

 一方、東欧からはさらに多くのニュースが来ている。先週ポーランドの仮想通貨団体であるポーランド・ビットコイン協会(PBS)は政府に苦情を申し立て、同国内の15社の金融機関が、仮想通貨プラットフォームへのサービスを故意に拒否しその銀行口座を選択的に閉鎖することで、この産業の妨害していると批判した。

 この地域の仮想通貨規制を取り巻く複雑さの中を渡り歩くために、ロシアからマケドニアまで、大半の東欧諸国をカバーするガイドをここに示す。

以下のリストは綿密なニュース報道の調査に基づいているが、決して完全なものとは言えない。自国での銀行と仮想通貨の関係についてより詳しい情報を持っているならば、コメント欄で共有してほしい。

仮想通貨・ブロックチェーン規制概況のアジア版南北アメリカ版欧州版アフリカ版はこちら。

Regulation Map

 

Russia

ロシア

 規制

 ロシア政府はビットコインと仮想通貨に対して混沌とした態度を示し続けており、それを全面禁止する法律を提案した後、それらの発言を撤回している。しかしウラジーミル・プーチン大統領が仮想通貨規制開始の決断を発表するとすぐに実際の法案が提出され、最近国家院の第一読会を通過した。正式な確認はまだとれていないが、この法案は7月1日に発効される見込みだ。

 第一党である統一ロシアに所属し立法作業委員会の委員長を務めるパヴェル・クラシェニンニコフ氏が現地メディアに対して行った説明によると、この法案の最初の狙いは「倒産詐欺や犯罪による収入の適法化、あるいはテロ集団の支援のために、デジタルな物を使って規制されていないデジタル環境に資産を送るという既存の危険性を最小限に抑える」ことだという。

 この法案は現地の専門家から批判を受けていた。そのため、国家院のデジタル経済及びブロックチェーンに関する専門家チームのメンバーであるイーゴリ・スデッツ氏は、この法案が完全に承認されればロシアでICOを行おうとは「誰1人思わないだろう」とさえ述べた。この法案では以前、1つのICOでは1人当たり5万ルーブル(約8万8000円)より多くの投資はできないと提言されていた。現行版の法案ではこの制限は削除されたが、ロシアにおけるICOの未来は未だ不透明だ。5月24日には、同国最大の国有銀行であるズベルバンクと証券保管振替機関(NRD)が、ロシア銀行のサンドボックス制度を用いた同国初の公式ICOの試験を発表した。これは同国内でのICO市場がどのようなものになるかを明らかにするはずだ。

 同様に6月30日には、ロシアの大手決済サービス会社、キウィの子会社であるキウィ・ブロックチェーン・テクノロジーズ(QBT)が「HASH」という仮想通貨投資銀行を立ち上げたと報じられた。HASHはICOのプラットフォームを提供する予定だ。QBTの最高財務責任者(CFO)によると、同社は既に10社のファンドと連携しており、そのうち最大のファンドの売上高は約1億ドルで、必要なライセンス取得後の来年には仮想通貨取引サービスを提供する予定だという。

 従って、前述の仮想通貨法案が施行された場合、仮想通貨とトークンは共に資産となり、発行元が1つ(トークンの場合)か、あるいは様々な発行元/マイナーがいる(仮想通貨の場合)かが、仮想通貨とトークンの重要な相違点となる。さらに、マイナーの排出目標も定められる。電気料金が基準を超えると、マイニング活動は事業とみなされ、関係当局への登録が必須となる。最後に、同法案では次のように断言されている。

「ロシア連邦の領土内では、デジタル金融資産は合法な支払い手段ではない」

ブロックチェーン

 どうやらロシアはこの技術に関する大きな計画を持っているようだ。17年のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、イーゴリ・シュワロフ第一副首相は、ブロックチェーンについてのロシアの野心を明らかにした。

「ブロックチェーンは今や最重要任務だ。大統領はこのアイデアに全く病みつきになっており(…)大きな成長率はデジタル経済と技術的リーダーシップに基づくと理解している」

 ロシアは17年末までに、国営のスベルバンクとロシア連邦反独占局(FAS)が協力して同技術を使った文書の転送と保管を実施したことで、最初の政府レベルのブロックチェーン導入を正式に完了した。

 5月16日には、ズベルバンクがブロックチェーンを基盤とした同国内で初めてのコマーシャルボンドの取引を行ったと報じられた。この取引は、ロシアの大手通信事業会社MTS及び証券保管振替機関(NSD)との協力で完了した。

Poland

ポーランド

 規制

 ポーランドは仮想通貨の取引とマイニングを正式に認めている。しかし国が資金を出した疑問点のあるソーシャルメディア上での反仮想通貨キャンペーンによって、仮想通貨への見解は進歩主義的なものから多少懐疑的なものに変わっている。

 同国と仮想通貨の関係は13年に始まった。当時ワルシャワ経済大学(Szkoła Główna Handlowa)で開催されたビットコインの合法性に関するセミナーで、ポーランドの財務省は次のように述べたと伝えられている。

「禁止されていないものは許可されている。しかし、もちろんビットコインは法定通貨だとはみなせない」

 その後の15年には、ポーランド財務省が同国内での仮想通貨規制の可能性に関する声明を出した。この変化はEUと同調するかもしれず、あるいは事態が緊迫している様であれば単独で導入されるかもしれないと示唆された。この声明では次のように述べられている。

「(いかなる規制措置も)この事業の越境的な性質を視野に入れたEUレベルでのイニシアティブの結果か、仮想通貨市場の失敗への恐れの結果として、取られるべきだ」

 16年には、同政府は寛容なアプローチに傾いたようだ。ポーランド中央統計局(GUS)は、仮想通貨の取引とマイニングは現在「公式な経済活動」とみなされており、この分野に関わる企業は公式な登録を得られるだろうと述べた

 しかしNBP(ポーランド国立銀行、中央銀行)は2月15日、疑問点のある「啓蒙キャンペーン」に資金を出し、反仮想通貨の寸劇に現地ユーチューバーを採用していたと認めた。ポーランドの別の金融規制当局である金融監督局(KNF)は最近、より多くのこうしたソーシャルメディア・キャンペーンに出資すると決定した。

 しかし、ポーランドの財務省は最近、より賢明な規制と引き換えに仮想通貨への課税を緩和すると約束した。ポーランド・ビットコイン協会(PBA)は既に競争・消費者保護庁(OCCP)に対し正式な苦情申し立てを行っており、現地の銀行が仮想通貨団体へのサービスを故意に拒否し、少なくとも25社の仮想通貨関連企業の口座を選択的に閉鎖したと主張している。この声明には次のように記されている。

「仮想通貨団体の活動は合法で品位をもって行われているにもかかわらず、記載された銀行の行為による結果は、明らかにそれらの団体を市場から排除することを狙ったものだ…上記を踏まえると、規制当局による行動は必要不可欠であり、この申し立てと要求には十分な裏付けがある」

ブロックチェーン

 ポーランドは完全にブロックチェーン支持派だということが分かっている。それゆえポーランド・ブロックチェーン技術促進機構(PATB)は18年1月、同団体のチームの1つが国内でデジタル化された国家仮想通貨であるデジタル・ズウォティ、dPLNの開発に取り組んでいると明らかにした。dPLNの創設者であるクシシュトフ・ピエヒ氏はコインテレグラフに対し、そのプロジェクトがブロックチェーンを基盤とするものだと認めた。

 さらに3月には、ポーランドの大手銀行であるPKOバンク・ポルスキが、トルデータムというツールを介したDLTを基盤とする銀行文書向けの保管・検証システムを提供するために、ブロックチェーン企業のコインフィルムと提携したと発表した。最後に、ポーランドの信用情報機関であるビューロ・インフォルマーチ・クレディトーヴェ(BIK)は5月、顧客データ保管向けのブロックチェーンを導入するため、英フィンテック企業のビロンと提携した。

Ukraine

ウクライナ

 規制

 政情不安な時代だった14年、マイケル・チョーバニアンという実業家が、フリヴニャ(ウクライナの自国通貨)とビットコインを両替する同国内初の会社を開業した。同氏は自身の行動を次のように説明した。

「国内には法も秩序もなく、従って規制もない。ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領とその一族は電子決済市場に関心を持ち、権力を乱用して市場を独占し他者の参入を禁じた。今や彼はいない。これからウクライナは仮想通貨の避難所だ。だれも止められないし、止めるつもりもない」

 最近、(少なくとも同国内の大部分で)情勢がかなり平穏になるにつれ、ウクライナが仮想通貨合法化のための法案を準備していることを示唆する報道が出始めた。ウクライナの安全保障協議会は18年1月に会合を開き、同国内における「未統制の仮想通貨流通に関連する複雑な問題を検討した」

 さらに、ウクライナ議会のアレクセイ・ムシャク議員は5月15日、グーグル・ドキュメント上にある法案書類のコピーへのリンクをフェイスブックで公開し、仮想通貨市場への規案の条項について仮想通貨支持者らの意見を求めた。

「ウクライナ国内でデジタルトークンと仮想通貨のための環境を整える作業が大詰めを迎えた。これは多くの人々による、多くの会合と努力の成果だ。解決すべき微妙な点は多く残されている。最終法案は2週間で準備が整うだろう」

 ウクライナ政府は、武器取引といった不法行為の手段としても仮想通貨に言及している。現地警察は11月、大規模なマイニング活動が行われていたキエフにあるクヴァザールの半導体工場を強制捜査した。同警察は機器の押収後、ロシアの銀行との繋がりが見つかったと報告し、収益がドネツィク及びルハーンシク地域の分離主義者への資金援助に使われた疑いがあると主張した。

 同様にこの1カ月前には、ウクライナ保安庁の武装職員が、ロシア語の大手仮想通貨ニュースサイトであるフォークログのオデッサのオフィスに押し入ってコンピューターとハードディスクを押収し、フォークログがドンバスの分離主義者に資金を供給するために仮想通貨を使っていると主張した。

 ブロックチェーン

 ウクライナ国立銀行(NBU)は1月、自国通貨であるフリヴニャのブロックチェーンを基盤としないデジタル版の導入を「検討している」と述べたが、この提案中のeフリヴニャがブロックチェーンを基盤とする可能性については、まだ議論の余地があるとも指摘した。

 これとは別に、ウクライナの電子政府機関は17年8月、ブロックチェーン上で外国人投資家に不動産を販売する試験的計画を立ち上げた。同機関の責任者であるオレクサンダー・ルジェンコ氏はプレスリリースで、「包括的なブロックチェーン・エコシステムの確立において、ウクライナを世界有数の国家にすることが我々の目標だ。そして我々のブロックチェーン戦略全体において、不動産部門は重要な構成要素だ」と主張した。

 ビットフューリー・グループは以前、ウクライナ政府との提携を発表している。ウクライナ政府の電子サービスに様々なブロックチェーン・ソリューションを提供することを目指した提携だ。また報道によると、ウクライナ政府はブロックチェーンを基盤とする世界初の政府オークションを主催したという。

Belarus

ベラルーシ

 規制

 ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は12月、ブロックチェーンと仮想通貨への国家的な支援を示す「非常にリベラルな」法案に正式に署名した。この法令はブロックチェーンを基盤とする事業や、仮想通貨とデジタルトークンに関連した活動を合法化するものだ。この結果、仮想通貨に制限を課すことでそれを規制する他の国家とは異なり、ベラルーシではマイニングや取引活動は「事業活動」としては扱われない。従って、それらは源泉徴収税の対象ではない。この法令の2.2条には次のように記されている。

「自然人はトークンを所有する権利を有し、また、この法令で定められた固有の特徴を鑑み、以下の活動を行う権利を有する:マイニング、仮想ウォレットへのトークンの保管、トークンと他のトークンとの交換、ベラルーシ・ルーブル、外国通貨、電子マネーでのトークンの取得や譲渡、そしてトークンの寄付や遺贈」

 加えて、ベラルーシには長い免税期間があり、23年1月1日までは仮想通貨取引による収入の申告は任意である。

 この法令の大部分は、シリ&