デジタルドルプロジェクトが5月28日にホワイトペーパーをリリースした。これは中央銀行デジタル通貨(CBDC)について30ページにわたって説明している。

デジタルドルプロジェクトは、デジタルドル財団とコンサルティング大手アクセンチュアが主導するプロジェクトだ。

プロジェクトの意義

このホワイトペーパーでは、デジタルドル導入による意義やメリットなどについて説明している。

デジタルドルプロジェクトは、米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長クリストファー・ジャンカルロ氏などが参加している。

デジタルドルプロジェクトの創設者の1人でCFTC元幹部、ダニエル・ゴーファイン氏は「デジタルドルプロジェクトを通じて、私たち試みてきたことは触媒作用であり、この論文はその方向への重要なステップだ」と、コインテレグラフに語った。

新しいテクノロジーをテストする

このホワイトペーパーでは、デジタルドルの一連のユースケースを示している。たとえば、米国とメキシコとの間の巨大な送金需要だ。これらのユースケースを個別のコンポーネントとしてテストするため、将来的にパイロットプロジェクトに取り組む予定だ。

「利害関係者、公共セクター、アドバイザリーグループとの関わりを通じて、これらのユースケースをさらに洗練させ、仮説をテストし、設計を決定するための潜在的なパイロットを決める予定だ」

ゴーファイン氏は、デジタルドルによって合理化が見込まれる幅広いタスクを細分化することが重要だと指摘し、パイロットについて次のように述べている。

「パイロット試験はトピック全体を通して、様々な部分で行われるだろう。たとえば、トークン化と、それが金融包摂に与える影響について調べてたりだ。政府の福祉プログラムと、その受取での支払方法について個別に調べることもできる」

金融の2層構造を維持

既存の規制の範囲内で機能するというプロジェクトの考えに沿っているため、連邦準備制度から金融機関、そして一般の人々というマネーの流れを維持するとしている。

「デジタルドルは、商業銀行と規制された仲介業者の既存の2層構造を通じて配布される」

ゴーファイン氏は、デジタルドルプロジェクトの構造について、次のように説明している。

「主に民間部門と規制された銀行や送金事業者に依存することは、はるかに優れたアプローチのように思える。公的機関を通じたソリューションは解決すべきギャップや問題が残っている場合にのみ意味がある」

ホワイトペーパーでは、デジタルドルが既存の本人確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)の要件を満たすことも求めている。同時にホワイトペーパーでは、プライバシーが主要な問題になると述べている。

「これは非常に重要な領域だ。最終的に、政府が政策選択を行う必要があるだろう」と、ゴーファイン氏は指摘する。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン