世界最大の仮想通貨取引プラットフォームであるバイナンスはここ1週間、管轄区域内での許認可を無視してサービスを提供していると世界中の規制当局から非難されている。バイナンスは「グローバルな取引所」であると称しているが、市民に金融サービスする際にライセンスを求める規制当局を納得させることはできなかったようだ。

バイナンスが直面している規制当局による警告についてまとめた。

日本

6月25日、日本の金融庁は、バイナンスが登録せずに国内でサービスを提供しているとして警告を発した。これは法的な問題に発展する可能性もある。日本は他の地域とは異なり、少なくとも2018年以降から厳格な登録制度を運用している。バイナンスはその余波も受け、2018年に1度目の警告を受け、マルタに拠点を移す決定をした

金融庁の警告はバイナンスだけではない。今年5月には、デリバティブ取引所Bybitに対しても警告を行っている

オンタリオ州(カナダ)

日本の金融庁が警告を出したのとほぼ同時に、バイナンスはオンタリオ州での事業を2021年12月31日までに停止すると発表した。これは同州の証券規制当局が仮想通貨取引所を対象とした新しい規制を導入したことを受けたものだ。

4月19日、オンタリオ証券委員会(OSC)は、仮想通貨取引所に対して新しい登録要件を導入。OSCは、最近これを無視したとして2つの仮想通貨取引所(BybitとKucoin)に警告を行っている。バイナンスは新しい規制を順守するのではなく、市場から完全に撤退することを決定。年末までにユーザーに口座を清算することを求めている。

イギリス

イギリスの金融行動監視機構(FCA)はバイナンスに対して警告を出し、国内での許可されていない活動を停止するよう命じた。これにより日曜にバイナンスが大きく注目されることになった。これはイギリスで仮想通貨売買でバイナンスが全面的に禁止になるのではないかと、多くの人が解釈している。さらに、現地の報道によれば、バイナンスで決済システムを通じて英ポンドを引き出すことが出来なくなっているという。

バイナンスは、FCAの通知は、2020年5月に同社が買収した別法人であるBinance Markets Limited(BML)に対するものであると主張。BMLは法的に別法人であり、Binance.comのサイトを通じたサービスや商品は提供していないと説明している。

しかし、CNBCの報道によれば、バイナンスは英国のユーザーにFCAの通知をウェブサイトやアプリの目立つ場所で知らせる必要があるという。

ドイツ

今年4月、ドイツの連邦金融監督庁(BaFin)は、投資家への目論見書を公開せず株価を追跡するデジタルトークンを提供したとして、バイナンスに警告を出している。BaFinは、マイクロソフトやアップル、テスラなどの優良株式を追跡するデジタルトークンを問題視した。フィナンシャルタイムズによると、バイナンスは規制当局に株価追跡トークンはサードパーティのブローカーを通じて購入され、他の取引所に譲渡できないため、証券ではないと主張している。

米国

バイナンスはバイナンスUSと呼ばれるトレーディングデスクを米国で運営しているが、ここ数か月でバイナンスを調査の対象となっている。今年5月、ブルームバーグは、司法省と内国歳入庁(IRS)がマネーロンダリングと脱税でバイナンスを調査中だと報じた。

バイナンスのジャオ・チャンポンCEOは、バイナンスは米国の法執行機関と協力して「悪事を働くプレイヤーと戦っている」と主張し、記事の内容に反論している。