タイの中央銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発で新しい段階に入ったようだ。
タイの英字メディアThe Nationの16日の報道によれば、中央銀行のタイ銀行はいつくかの大企業との金融取引にCBDCを使っているという。
タイはCBDC開発のテスト展開
タイ銀行は、デジタルバーツ開発の第3段階に入り、より多くの事業を計画していると、タイ銀行の副総裁であるバチラ・アロムディー氏は述べている。
報道によると、タイ銀行は2020年9月にも香港の中央銀行である香港金融管理局との取引にデジタル通貨を使う予定だという。
またタイ銀行では、金融取引のコストを削減するためにデジタルバーツの使用を一般にも拡大することを考えていると、アロムディー氏は述べている。しかし、商業銀行への潜在的な悪影響を防ぐために包括的な調査を実施する必要があるとも語っている。
アムロディー氏は、中国のデジタル人民元のロールアウトによる金融システムへの影響にも注視する考えを示した。
報道によると、タイ銀行は2020年6月にCBDCの支払システムをテストするパイロットプロジェクトを正式に開始した。その際に、公式声明の中では、すべての企業向けにCBDCの支払システムを立ち上げる前に一部の大企業との間でテストをする予定であると述べていた。
タイ銀行では、タイ最大のセメント・建設資材企業であるサイアムセメントグループや、タイを拠点とするフィンテック企業でらうデジタル・ベンチャーズ・カンパニーと提携して、支払いシステムのパイロットプロジェクトを7月から進める予定だと発表していた。
タイ銀行では以前にも8つの金融機関と共同でCBDCの支払プロジェクトの実験を実施しており、段階的にCBDC実用化に向けた取り組みを進めている。
CBDC開発では中国が先行
CBDC開発のトップランナーとなっているのは、中国によるデジタル人民元の取り組みだ。既に中国は、一部の地域でCBDCのテストを開始しているとも報じられている。
7月の現地報道によれば、中国の大手食品デリバリー企業「メイチュアン・ディアンピン(美団点評)」や中国最大級の動画共有サイト「ビリビリ(哔哩哔哩)」も新たにデジタル人民元プロジェクトに参加するためのパートナーシップを結んでいる。
また中国の配車サービス大手の「ディディチューシン(滴滴出行)」が中国人民銀行のデジタル通貨研究所と戦略的パートナーシップを締結。ディディ乗車時におけるデジタル人民元支払いが可能にする狙いがあるという。さらに動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」を手がける「北京字節跳動科技(バイトダンス:ByteDance)」も協力に向けて交渉段階に入っているという。
中国では2022年に開催される北京五輪に向けてデジタル通貨の実用化が進められているといわれている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン