新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより、世界の金融システムに実在する脆弱性が浮き彫りとなり、また、新興国における国債や消費者債務の増加などといった、不安定化への傾向が強まってきている。今週開催された、ロシア中央銀行のエリヴィラ・ナビウリナ総裁主催による中央銀行総裁を集めたオンライン会議では、代表者たちは、現在の危機の広範囲におよぶ影響について話し合った。

中央アジア、黒海地域、バルカン諸国など、26の中央銀行の代表者たちが招集されたこの会議では、パンデミックが引き金となった電子商取引とデジタル決済技術の普及についても言及された。中央銀行では、このような傾向が、金融規制当局がかつてないほど中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)について真剣に受け止めることに拍車をかけていると見ている。

過去に報じられているように、世界の中央銀行の圧倒的多数は、すでに何らかの形でCBDCの作業に携わっており、このCBDCへの関心の高まりは、16年以降、この話題についての公式の発言が一貫して増加していることからもわかる。

ロシア中央銀行のアレクセイ・ザボトキン副総裁主催の補足会議で代表者たちは、パンデミック下のCBDC最前線における、金融規制当局の関心の高まりについて話し合った。

ロシア中央銀行による会議の詳細を要約すると、参加者たちは、CBDCが国の金融政策と金融の安定に及ぼす可能性のある影響について評価し、また、サイバー攻撃のリスクを軽減するための手順を考案する必要性があることで同意したという。

この会議には、独立国家共同体(CIS諸国)、イスラエル、中国の中央銀行だけでなく、国際通貨基金や世界経済フォーラム(WEF)、国際決済銀行からの代表者たちも招集されたという。

後者の代表者たちは、世界的なCBDCの開発への参加と詳細な分析の両方に携わってきている。その一環としてIMFは、複数の中央銀行と協力してCBDCについての共同研究を行なっており、また最近ではWEFが、国境を超越した運営・管理という観点からのCBDCの枠組みの開発に着目してきている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン