ブロックチェーンゲームで発行される、ノンファンジブル・トークン(NFT)。果たしてこれは、日本の法律で「仮想通貨」に当たるのか?

金融庁は3日、仮想通貨関係の事務ガイドライン改正案に寄せられたパブリックコメントへの金融庁自身の見解を公表。その中で、NFTは仮想通貨に当たらないとの考え方を示している。

ノンファンジブル・トークン(NFT)とは、「ノンファンジブル(代替不可能)」とあるように、1つ1つのトークンが固有の価値を持つものだ。代表的な例は、ブロックチェーンゲームの「クリプトキティーズ」で生成される猫のキャラクターだ。イーサリアムのブロックチェーンで作られるキャラクターに同じものはなく、レアなキャラクターであれば、高値で取引されることもある。

このNFTについて、金融庁は、次のようにコメントしている。

例えば、ブロックチェーンに記録されたトレーディングカードやゲーム内アイテム等は、1号仮想通貨と相互に交換できる場合であっても、基本的には1号仮想通貨のような決済手段等の経済的機能を有していないと考えられますので、2号仮想通貨には該当しないと考えられます。

1号、2号というのは、資金決済法第2条5項の1号と2号で規定されている「仮想通貨」の定義の分類。この2つに当てはまらなければ、現在の法律では「仮想通貨」に当たらないことになる。NFTとビットコインのような仮想通貨との重要な違いは、「決済手段などの経済的機能」を持っているかどうかという点だという。

コインチェック共同創業者の大塚雄介氏は、今回のパブコメへの回答の中で、NFTが仮想通貨と当たらないと判断した意義は大きいと指摘している。

ビットコインでも不適切に?

日本の仮想通貨取引所で扱えない仮想通貨は何か? 日本の自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」の自主規制規則の中では、 「移転記録の追跡ができない又は著しく困難で ある仮想通貨」 は取り扱ってはならないとある。

パブコメの中では、ビットコインのようなものでも仮想通貨ミキシングを使った場合には、この定義に該当するのではないかと問う内容もあった。

金融庁は、このパブコメに直接回答していないが、次のように考え方を述べている。

なお、取り扱う仮想通貨がビットコインであったとしても、その取扱い時の用途や利用される暗号化技術のほか、取扱いにあたっての仮想通貨交換業者の社内態勢の状況等を勘案の上、当該仮想通貨交換業者においては、利用者保護及び業務の適正かつ確実な遂行の確保が困難と判断される場合には、適切性が認められないケースもあり得ると考えられます。  

つまり既に取引所で扱っているコインであっても、マネーロンダリングに使われるような追跡困難な仮想通貨になれば、認められないケースもあるということだ。

実際、コインチェックは昨年5月、マネロン対策を進めるため、上場していた匿名通貨であるモネロやジーキャッシュなどの取扱いを止めた

いま、日本の多くの取引所に上場しているライトコインは匿名性向上を進めようとしている。創設者のチャーリー・リー氏は「19年中に実装予定」としているが、果たして上記のようなケースに該当してしまうのだろうか。

ガイドラインは来年も改正

今回の事務ガイドライン改正は、昨年行われた金融庁の仮想通貨交換業者への検査や、仮想通貨研究会の議論をもとに行われたものだ。

今年5月に成立した、来年から施行される改正資金決済法などの内容は反映されていない。

金融庁は、来年の改正法施行までに、改めて事務ガイドラインを改正するという。

「現時点において施行されていない改正法の内容を反映したものではありません。〔中略〕 改正法の施行までに、改めて、同法に対応した事務ガイドライン改正を行うことを予定しております」