コインチェックは18日、秘匿性が高い「匿名通貨」を含む4つの仮想通貨の取り扱いを廃止すると発表した。対象となるのは、モネロ、Zキャッシュ、ダッシュ、オーガーの4種類。取り扱い廃止は6月18日付で行う。

 コインチェックは今回の匿名通貨の取り扱い廃止は、金融庁からの業務改善命令を受け、マネーロンダリング防止(AML)とテロ資金供与対策(CFT)の整備・強化のためであると説明している。廃止日に保有している対象通貨は、市場価格で売却し、日本円に転換されるとしている。今回の発表に伴い、多数の送金申請が来た場合、目視等での確認も含め送金完了までに数日程度掛かる可能性があるという。

 匿名通貨を巡っては、その秘匿性の高さからマネーロンダリングや脱税への悪用を懸念する声が規制当局から出ていた。日本経済新聞は5日、金融庁が仮想通貨交換業の新たな登録方針を作成したと報じ、新方針のもとでは「匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)に使われやすい仮想通貨の取り扱いも原則認めない」と伝えている。

 実際に、毎日新聞が14日に報じた暴力団によるマネーロンダリング疑惑の中でも、マネロンの実行部隊はZキャッシュ、ダッシュ、モネロを使っていたとしている。記事によれば、実行部隊は匿名通貨を使い、海外の取引所で十数回の交換を繰り返し、追跡を困難にした上で現金化していた。

 匿名通貨の取り扱いは、コインチェックが「みなし業者」を脱し、金融庁から仮想通貨交換業の登録を受ける上でも1つの焦点となっていた。既に3月の時点から、コインチェックが取り扱い廃止で調整しているとの報道が出ていた

 4月6日に行われたマネックスによるコインチェック買収の記者会見でも匿名通貨を巡る質問が出され、当時の和田晃一良CEOは次のように述べていた。

秘匿性の高い仮想通貨であったりオーガー等の仮想通貨については、以前、金融庁からの業務改善命令が出ているところでもあるのですが、マネーロンダリングであったりそういったところのリスクを適切に検討し、それを踏まえた上でしっかり決断をするというところになっております

 その後、マネックスグループの松本大CEOは日経とのインタビューの中で「現在匿名通貨を保有する顧客の保護を考えつつ、基本は取り扱いをやめる方向になる」と語っていた

 マネックスGは、6月ごろを目標に金融庁から仮想通貨交換業の登録を取得し、現在停止しているサービスを全面再開したいとの意向を示していた。6月18日付の匿名通貨の取り扱い廃止後、金融庁から交換業者の登録を取得できるかどうかが注目される。

 CEOを退任し、現在は開発担当の執行役員を務めている和田氏は、「今後の暗号通貨の発展にトランザクションの秘匿化は欠かせない、その思いから取り扱いをしていましたが、AMLの観点より今回の結論となりました」とツイートした。

 

 またブルームバーグは18日、マネックスGの松本大CEOへインタビューした記事を掲載した。4月26日に行われた個人投資家向けのオンライン決算説明会で述べていた、コインチェックの米国進出の意欲を改めて示した。