経済指標の悪化と米国政府による関税の脅威が再浮上したことを受け、米国株式市場で、仮想通貨関連企業の株価が金曜日に大きく下落した。

この日、コインベース(COIN)、ライオット・プラットフォームズ(RIOT)、クリーンスパーク(CLSK)の株価は、いずれも7〜16%下落。ダウ平均株価は600ドル超の下落、S&P500は1.6%、ナスダック総合は2%超の下落と、広範なリスク資産売りの中で下げが加速した。

コインベースの下落は、前日の時間外取引で始まった売りが継続したもの。同社は第2四半期の売上高を15億ドルと発表したが、取引高の減少が業績を圧迫した。純利益は14億ドルとされたが、投資収益を除く実質的な純利益は3300万ドルにとどまった。

コインベースの第2四半期決算 Source: Coinbase

ライオット・プラットフォームズも同日大きく下げた。第2四半期の売上は前年比で2倍以上となる1億5300万ドルに達し、そのうち8510万ドルはビットコイン(BTC)のマイニングによる収益だった。1株当たり利益は0.98ドルと、市場予想の0.21ドルの赤字を大きく上回る結果だったが、株価は下落した。

クリーンスパークの下落は、企業固有の要因ではなく、全体的な市場動向に追随した形とみられる。前回の決算は5月に発表されており、会計年度第2四半期の売上は前年同期比で62.5%増だった。

仮想通貨株の急落は、ビットコインを中心としたデジタル資産市場の調整とも連動している。これらの銘柄はしばしば、ビットコイン価格へのレバレッジ的な投資手段と見なされるため、BTC価格の下落局面では株価下落が増幅される傾向にある。

ビットコインはこの日、週前半に記録した12万ドル近辺の高値から下落し、一時11万5000ドルを割り込んだ。

雇用統計の鈍化が景気減速懸念を強める

投資家のリスク資産への意欲が冷え込んだのは、米労働省が発表した最新の非農業部門雇用統計が予想を大きく下回ったことも影響している。7月の新規雇用者数は7万3000人と、ダウ・ジョーンズが調査したエコノミスト予想の10万人を大幅に下回った。

この結果を受けて、米CMEグループのFedWatchツールは、9月の利下げ確率を80%と見積もっている。

ただし、利下げの実現には障害もある。FRBが注視するインフレ指標であるコアPCEが6月に市場予想を上回っており、早期の金融緩和への期待を鈍らせる材料となっている。

Source: CME Group

加えて、米国のトランプ大統領が通商政策を再び強硬化させたことも市場の重しとなった。ホワイトハウスは8月1日に新たな関税案を発表し、10〜41%の関税率を提示。既存の関税回避のために経由地を変更して輸入される物品にも40%の関税を課すとした。

クリアブリッジ・インベストメンツのジェフリー・シュルツ氏は、雇用統計の結果を受けて「FRBの利下げ開始がリスク資産にとって好材料と見なされてきたが、今回の結果は“悪いニュースは悪いニュース”と形容するのが適切なようだ」と述べた

同氏は、すでに鈍化している雇用市場に新たな関税リスクが重なることで、今後さらに雇用環境が悪化する可能性があると指摘した。

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