分散型取引所KiloExから750万ドル相当の仮想通貨が不正流出した事件で、攻撃者が全額を返還したことが明らかになった。
4月15日に発生したこの攻撃により、KiloExは一時すべてのプラットフォーム運営を停止していた。だが、ブロックチェーンセキュリティ企業ペックシールドの4月18日のX投稿によれば、攻撃者のラベル付けされたウォレットアドレスからKiloExに対し約550万ドル分の仮想通貨が返還されたという。
この送金の直後、KiloExはXの投稿で「盗まれたすべての資産の完全な回収が完了した」と発表した。
KiloExは返還に先立ち、攻撃者に対して盗難額の90%を返還すれば10%(75万ドル)をホワイトハット報奨金として支払うと提案していた。これが返還の動機となった可能性がある。
攻撃者に法的措置取らず
KiloExは今回の資産回収を受け、攻撃者に対して法的措置を取らない意向を表明している。
「すべての被害資産が回収されたことにより(被害者は存在しない)、本件は公正かつ透明な方法で解決される。現在、正式に事件を終結させるための手続きを進めている」とKiloExはコメントした。
また、「協定に基づき、ホワイトハットに10%の報奨金を授与する。今回の件は、我々のプラットフォームのセキュリティ向上に貢献するものだった」とも述べている。
ホワイトハットハッカーとは、将来的な脆弱性悪用を防ぐためにシステムのセキュリティ欠陥を善意で発見・報告する、いわば「倫理的ハッカー」のことを指す。
ペックシールドによれば、今回の不正アクセスはスマートコントラクトが参照する価格情報(オラクル)が操作されたか、または不正確だったことが原因とみられる。