米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、フェイスブックが主導する仮想通貨リブラが消費者にリスクをもたらす可能性があると語った。銀行口座と比較して、デジタルウォレット内で保管されたステーブルコインの権利が確立されていないことを問題視している。

ブレイナード理事は16日、ワシントンDCで開催されたフォーラム「フューチャー・オブ・マネー」で講演し、リブラに対する懸念を明らかにした。

仮想通貨リブラの登場は様々な課題をもたらすとブレイナード理事は指摘する。

「フェイスブックのリブラなどグローバルなステーブルコインネットワークは、法的および規制上の保護、金融の安定性、金融政策に関する問題を提起する」

特に27億人のユーザーベースを持つフェイスブックのリブラは、「マネーの形、誰が何を発行できるのか、そしてペイメントの記録や決済方法の議論を引き起こす」と述べる。

リスクの1つが消費者保護の問題だ。銀行口座では預金保険の保護や不正取引に巻き込まれた際の補償、手数料の基準といったルールが整備されているが、ウォレット内の仮想通貨については明確な規定がない状況だ。

「(銀行口座と)同等の保護がリブラに適用されるのか。また消費者がどのような償還請求権を持つかは明確ではない。ステーブルコインの原資産に対しる権利を有していないように見えるため、消費者がどれだけの価格リスクに直面するかも明らかではない」

主要国の中央銀行などで組織する金融安定理事会(FSB)は、G20向けの書簡の中で、金融安定性のリスクの1つとして「グローバルなステーブルコイン」をあげた。その中でも「消費者および投資家の保護」を想定されるリスクとして指摘している。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版