ECB(欧州中銀行)は5月のリポートの中で、仮想通貨は金融政策に影響を及ぼさないという見方を改めて示した。先日ECBのドラギ総裁が仮想通貨に否定的な見解を示しており、今回のリポートもその考えを踏襲した形だ。

「暗号資産(仮想通貨):金融安定、金融政策、決済とマーケットインフラへの影響」という項目の中でECBは、仮想通貨が現金などの信用ある代替手段として機能しなければ、影響力を持たないと主張。現在は、マネーの役割を果たしていないという従来の見方を繰り返した。

またECBは、仮想通貨で商品やサービスの購入ができる小売店が少数であることや価格のボラリティリティ(変動幅)が高いことを理由に、仮想通貨の普及は限定的と述べた。

一方ECBは、法定通貨やアルゴリズムによって価値が安定するステーブルコインにも言及。もし中央銀行の裏付けがあるとしたらボラティリティが小さくなるとし、引き続きモニタリングしていくとした。

その上でECBは、中央銀行などの特定の機関が背後にいないことが仮想通貨のマネーとしての普及を妨げており、ボラティリティの問題に対処できていない要因になっていると主張。マネーの3要素として知られる価値保存手段、支払い手段、価値の尺度を果たせていないと結論づけた。

今月9日、ECBのドラギ総裁は、仮想通貨の背後にあるのは何かわからないとし、通貨というよりは価値が激しく揺れ動くリスク資産という見方を示した

【関連記事:ECBドラギ総裁、仮想通貨やビットコインに否定的な見解|一方「ユーロはいつでもユーロ」と楽観的

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版