仮想通貨投資家のセンチメントは、世界的な関税懸念から大きく回復したものの、市場の構造的な弱点により、週末の流動性低下時には再び下落圧力が強まる可能性があるとアナリストらは警告している。

今週、米国のトランプ大統領が中国製品に対する輸入関税について「大幅に引き下げる可能性がある」と発言したことで、仮想通貨投資家のリスク選好は回復した。

しかし、ビットフィネックスのアナリストはコインテレグラフに対し、「センチメントの改善があったとはいえ、ビットコイン(BTC)が週末のボラティリティを回避できる保証はない」と述べた。

「センチメントの改善は市場の脆弱性をある程度緩和するが、週末の流動性の薄さといった構造的リスクを完全に排除するものではない」

さらに、「歴史的に見ても、週末は急激な値動きに注意が必要だ。オープン・インタレスト(建玉)が高く、流動性が低い局面では急変動が起こりやすい」とし、低流動性時には突発的なマクロ経済ニュースがボラティリティを高めるリスクがあると指摘した。

BTC/USD, 1-year chart. Source: Cointelegraph

ビットコインは過去1週間で約11%の反発を見せたが、これまでも日曜日の流動性の動向により、上昇が制限されるケースがあった。

例えば4月6日の日曜、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長がトランプ氏の関税政策が経済やインフレに影響を及ぼす可能性に言及した後、ビットコインは一時的に米国株市場との連動を外しながらも、結局7万5000ドルを割り込んだ。

この下落は、週末の流動性枯渇に加え、ビットコインがリスク回避局面で唯一流動性の高い資産だったことが要因とみられている。

レッドストーンの共同創業者兼COOのマルチン・カジミェルチャク氏はコインテレグラフに対し、「センチメント改善によってある程度の下支えは得られるが、取引量が減少する週末には依然として急激な値動きが起こり得る」と述べ、警戒を促した。

関税懸念はすでに織り込み済みか?

仮想通貨インテリジェンスプラットフォーム「ナンセン」の主席リサーチアナリストであるオレリー・バルテール氏は、「仮想通貨市場は関税関連の懸念をすでに最大限織り込んだ可能性がある」と分析している。

「関税リスクに関しては、ほぼ上限に達した感がある」とし、次のように続けた。

「今後1カ月程度の展開に不透明感は残るものの、市場はごくわずかなポジティブサインを待ち構えていた印象もある」

さらにバルテール氏は、「今回のラリーが持続するかどうかは、少なくとも過去のレジスタンス水準を突破できるかにかかっている。今の市場は、株式市場、米ドル、米国債に“トランプ・プット”が存在すると考えているようにも見える」と述べ、今後の交渉次第で再びボラティリティが高まる可能性があると警告した。

ナンセンはこれまでに、「仮想通貨市場が6月までに底打ちし回復に向かう確率は70%」と予測してきたが、そのタイミングは関税交渉の結果次第だと指摘している。

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