ラテンアメリカ諸国では仮想通貨によるマネーロンダリングの問題に直面している。情報セキュリティ企業IntSightsが2月27日に発行したレポートによると、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨がラテンアメリカでの組織犯罪グループやハッカーのツールになっているという。

「ラテンアメリカのダークサイド」というタイトルのレポートでは、ラテンアメリカ諸国のマネーロンダリング対策の状況が最悪であると指摘。現地の仮想通貨関連企業では顧客の本人確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)を欠いているという。

IntSinghtsは今回のレポートをまとめるにあたり、仮想通貨セキュリティ企業のサイファートレースやラテンアメリカ諸国に特化したサイバーセキュリティ企業Scitumと連携している。

仮想通貨取引所の「非常に緩い」規制

レポートによれば、ラテンアメリカでは犯罪者が大量の違法な資金をマネロンするため、仮想通貨に注目している状況だ。犯罪者らは現地の仮想通貨取引所やローカルビットコインといったピアツーピア(P2P)取引所の不十分なKYCやAMLに付け込んでいるという。

IntSightsによれば、世界中の違法な仮想通貨の大部分がラテンアメリカの仮想通貨取引所に送金されている傾向がある。現地の仮想通貨取引所は通常、「非常に緩い」規制であると、レポートは指摘している。

レポ―トでは、パナマに拠点を置く仮想通貨決済企業クリプト・キャピタルでは少なくとも3億5000万ドル(378億円)の大規模なマネーロンダリングが行われたケースを紹介している。クリプト・キャピタルの社長は昨年10月に逮捕されており、コロンビアの麻薬カルテルのためにマネーロンダリングを行ったと述べている。

P2P取引所も利用される

ラテンアメリカの仮想通貨取引所だけが犯罪者にとっての唯一の抜け穴ではないようだ。レポートによれば、ローカルビットコインやPaxfulといったP2P取引所も利用されているという。

レポートでは「P2P取引所は通常、AMLプログラムを書いており、KYCデューデリジェンスをほとんど実行していない」と指摘している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン