中国人民銀行がデジタル通貨関連で80以上の特許を申請していたことが分かった。12日付のフィナンシャル・タイムズが報じた。

特許は、中央銀行デジタル通貨の発行と供給やデジタル通貨を使った銀行間決済のシステム、デジタル通貨ウォレットの既存の銀行口座への統合に関する提案だったという。

また、中央銀行デジタル通貨の発行量をアルゴリズムを使ってローンの金利などの特定のきっかけに基づいて調整する方法を計画していると読むこともできるそうだ。

全体的には、既存の銀行インフラにデジタル通貨のシステムを組み込むことに主眼が置かれている。銀行間の決済やクリアリングを背後で行いつつ、利用者が既存の銀行に預金することでデジタル通貨と交換できる仕組みのようだ。

フィナンシャル・タイムズによると、「一部の特許はP2P(対等な個人による取引)でのプライバシーを保証することに言及しているものの、中国人民銀行が利用者の取引状況を完全に把握することを防ぐメカニズムはない」と分析する専門家もいる。

各国は警戒

中国人民銀行が開発を進めるデジタル通貨に関して各国から懸念の声が上がっている。

日本では自民党の山本幸三金融調査会長(元地方創生相)が「デジタル円」の発行を求める提言をまとめ、政府の「骨太の方針」に盛り込むように求める考えを明らかにした。また日銀の雨宮正佳副総裁も「日本銀行はデジタル通貨を発行する準備ができていなければならない」と発言。ここにきて危機感を急速に募らせている。

また日銀は先月末、中央銀行デジタル通貨発行に向け、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げたと発表した

一方、米国もデジタル通貨発行に関する発言が相次いでいる。昨日には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がデジタルドルの研究を精力的に進めていると話していた。

【関連記事:米規制機関FinCEN、仮想通貨ビットコイン関連で新たな規制発表へ ムニューシン長官が明かす

【関連記事:日銀とECB、ブロックチェーン上での取引のプライバシー確保で共同研究

【関連記事:ビットコイン上昇、パウエル発言がきっかけか | 中銀のデジタル通貨開発はポジティブ要因

【関連記事:仮想通貨リブラは我々に「火をつけた」FRB議長、デジタルドルで発言

【関連記事:「骨太の方針」にデジタル円盛り込むべき、自民党の金融政調会長が提言

【関連記事:ウクライナのデジタル転換省、仮想通貨に関するマニフェスト公開 「マイニングは国家当局に規制されない」