トルネードキャッシュの共同創設者で開発者のロマン・ストーム氏は、両親がパソコンを購入したことをきっかけに、幼い頃からコンピュータソフトウェアに興味を持つようになった。

現在36歳の同氏は、6日に陪審から無許可送金業務運営の有罪評決を受けた。検察はなお、マネーロンダリング共謀および米国制裁違反共謀の2件の重罪について再び起訴する可能性がある。

ストーム氏は幼少期から「技術寄りのこと」に惹かれてきたと語る。裁判が始まる直前の7月初旬、ニューヨーク地裁での公判を控えたポッドキャスト出演時には、テレビゲームやプログラムの仕組みを独学で学んでいた経験を振り返った。

インターネットに接続すると、その興味は国境を越え、異なる国や文化への理解へと広がった。やがてリバタリアン的な価値観に惹かれ、それがトルネードキャッシュ誕生の土台となった。

ロシアから米国へ

ストーム氏のリンクトインによれば、2006年から2008年までロシア・チェリャビンスクの南ウラル国立大学で冶金工学を学び、物理・数学・化学に加え、後の職業の前段となるプログラミングにも取り組んだ。プログラミングはオープンソース教材で独学したという。

2008年に米国へ移住。当初は「どうやってやっていけばいいのか、まったくわからなかった」と振り返る。ポッドキャストでは「とにかく必死に働き、あがき、方法を探した」と語った。

最初は雑務に従事し、その後ソフトウェアエンジニアとして雇われた。経歴は急速に進み、シスコの品質保証やクラウドストレージ新興企業での上級職を経て、最後はシアトルでアマゾンのソフトウェアエンジニアとして数カ月勤務した。

暗号資産スタートアップとトルネードキャッシュの起源

2017年8月、ストーム氏はアマゾンを退職し、ブロックチェーン開発者としての活動を開始。イーサリアムのエコシステムに注力し、DAO向けSolidityコントラクトやERC-20トークンのコードを執筆した。

わずか3カ月後、プルーフ・オブ・オーソリティ型コンセンサスを採用するイーサリアムサイドチェーン「POA Network」の最高技術責任者に就任。1年弱で退任し、セキュリティ監査やカスタム開発を行うコンサルティング会社PepperSecを設立した。

PepperSec時代、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏と出会い、エコシステムにおけるプライバシーの重要性を知ったことが、後のトルネードキャッシュの原型につながった。

「当時、イーサリアムコミュニティは多くの正当な理由からプライバシーツールを必要としていた」とストーム氏はBanklessのインタビューで語っている。

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The Tornado Cash “washing machine” T-shirt at the 2019 ETHBoston event. Source: Web3Auth

コードから法廷へ

2019年、ストーム氏は仮想通貨ミキサー「トルネードキャッシュ」を共同創設。利用者がデジタル資産を追跡不可能な形で送金できるようにした。

米司法省(DOJ)は有罪評決後の声明で「トルネードキャッシュは追跡不能で匿名の金融取引を提供すると宣伝していた」と指摘し、同氏が犯罪者による不正資金10億ドル超の送金利用を「個人的に認識していた」と主張した。

「最終的にストーム氏と共同創設者らは、この違法送金事業から1,200万ドル以上の利益を得た」とDOJは述べた。

ストーム氏は2023年8月にマネーロンダリング、無許可送金業務運営、米国制裁違反共謀で起訴され、無罪を主張し保釈された。

過去数カ月間、Xのプロフィールには「誇りある米国市民」であり、「オープンソースコードを書いたことでバイデン政権とニューヨーク南地区連邦検事局に狙われた」と記載していた。

7日、陪審は無許可送金業務共謀で有罪評決を下した。この罪状の最高刑は懲役5年。マネーロンダリングおよび北朝鮮制裁違反に関する他の罪状は評決に至らず、有罪となれば最長40年の刑期が加わる可能性がある。

法律専門家によれば、米政府は未決の罪状について再審を行う選択肢を残しており、「司法省は今後数日で再審を行うかどうか決定する」と、ベンチャーキャピタルVariant Fundの最高法務責任者ジェイク・チェルビンスキー氏はXに投稿した。

今回の裁判結果は、米国の裁判所がデジタルプライバシー案件やオープンソース開発者をどのように扱うかの先例となる見込みだ。

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Source: Roman Storm

6日、陪審は無許可送金業務共謀で有罪評決を下した。この罪状の最高刑は懲役5年。マネーロンダリングおよび北朝鮮制裁違反に関する他の罪状は評決に至らず、有罪となれば最長40年の刑期が加わる可能性がある。

法律専門家によれば、米政府は未決の罪状について再審を行う選択肢を残しており、「司法省は今後数日で再審を行うかどうか決定する」と、ベンチャーキャピタルVariant Fundの最高法務責任者ジェイク・チェルビンスキー氏はXに投稿した。

今回の裁判結果は、米国の裁判所がデジタルプライバシー案件やオープンソース開発者をどのように扱うかの先例となる見込みだ。

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