日本銀行は12日、欧州中央銀行(ECB)と行っている分散型台帳技術(DLT)の共同調査に関する新たなレポートを発表した

今回の調査は日銀とECBの共同調査プロジェクト「プロジェクト・ステラ」のフェーズ4にあたり、「分散型台帳環境における取引情報の秘匿とその管理の両立」をテーマにしたものだ。DLTネットワーク上における取引でのプライバシー確保の方法について調査している。

調査では、プライバシーを確保するため、取引当事者ではない第三者の取引情報へのアクセスを制限する「プライバシー強化技術(PET)」を取り上げ、PETの基本的な整理や分類を行った。また概念整理や実機検証を通じて、DLTに基づく金融市場インフラの取引をPETで秘匿化する方法とその可能性について調査したという。

CBDCも問題意識に

今回の取引情報のプライバシー保護の取り組みは問題意識としては、中央銀行デジタル通貨といったDLTプラットフォームでのデジタル決済手段も視野に入っているようだ。

「ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨など、分散型台帳技術(DLT)に基づくプラットフォームで使われうる、さまざまなデジタル決済手段の開発に対する関心が高まっている。DLTネットワークにおける取引では、参加主体が各自の DLT ノードを運用し、これを通して取引情報を共有するため、プライバシの確保が課題となりうる」

日銀やECB、イングランド銀行などは今年1月に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の共同研究をスタートさせた。今年4月には各国中銀の総裁が参加し、CBDCについて議論する予定だ