仮想通貨相場は全面高の展開となっている。ビットコイン(BTC)は再び1万ドル台に回復し、足元では前日比で約5%上昇の1万280ドル近辺で取引されている。アルトコインも軒並み上昇しており、イーサ(ETH)は11%上昇の244ドル、XRPは5.5%上昇の0.285ドル近辺で値動きしている。

出典:Coin360 11:45時点

ビットコインの上昇の理由は?

米経済メディアのCNBCではビットコインが1万ドルを回復した要因について、複数のコメンテーターが議論している。

議論の中では、機関投資家がビットコインへの関心を高めているんことが背景にあるという指摘が出ている。主要な金融機関が自らブロックチェーン・プラットフォームを立ち上げ、仮想通貨・ブロックチェーン領域に進出しているというのが背景にあるという分析だ。

またコロナウィルスといった要因で世界経済が不安定化する中で、金などと同じようにビットコインが「安全資産(Safe haven asset)」としての地位を確立したという指摘もあった。

「中央銀行が通貨を切り下げるためにつまずいている世界でビットコインが勝っている」との指摘もあった。世界各国が緩和的な金融政策を取り組む中で、5月に半減期を迎えるビットコインへの注目が集まり、ビットコインが「勝者になった」という見方とみられる。

パウエル発言がきっかけか

また世界中の中央銀行がデジタル通貨開発に乗り出している点も、今回の上昇局面を後押ししているという指摘も出ている。折しも、米連邦制度準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が、米議会での公聴会の中で、デジタルドルの研究を精力的に進めていることを明らかにした

パウエル議長は、フェイスブックのリブラによって「火がついた」と発言。「リブラの動きが速かったことは警鐘」となったと語った。パウエル議長は、デジタルドルの研究を精力的に進めており「複数のプロジェクトがある」と話した。

日本銀行は先月末、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に向け、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げたと発表。FRBはこのグループに参加していないが、FRBのラエル・ブレイナード理事は、FRBがデジタルドルの実現可能性を研究していることを明らかにした

世界中の中央銀行がデジタル通貨発行にシフトしていることを背景に、仮想通貨相場自体の上昇要因となっているという見方だ。

ETH急騰はDeFiが後押しか

仮想通貨イーサリアムが急騰している。12日午前9時過ぎには240ドルを突破し、足元では10%上昇。昨年7月以来の高値をつけている。

DeFiパルスによると、12日時点でDeFi用にロックアップされた資金が10億6100万ドルを突破。1年間で370%上昇している。DeFiは、分散型ネットワークを使ったレンディングやデリバティブ、支払いサービスを指す。ロックアップ資金は、融資や金利の獲得、ステーブルコインの発行など様々な用途に使われる。

DeFi用にロックアップされたイーサの額が増えるとイーサにとってポジティブ材料になるという見方がある、DeFiにイーサが必要になることを意味しており、イーサステークのためにイーサが必要になれば、購入できるイーサが減少するため、イーサ/米ドルには上昇圧力となるからだ。