リップル・ラボと米証券取引委員会(SEC)との訴訟でリップル側が一部勝訴を勝ち取ったことは、規制当局による「仮想通貨に対する戦争」に対する大きな打撃と見なされている。だが、仮想通貨専門の弁護士たちは、これが業界にとって決定的な勝利ではないと警告している。

7月13日の画期的な判決で、トーレス判事はXRPは一般に売却される場合、少なくとも証券ではないと決定した。

この決定は、XRPトークン所有者から歓喜の声が上がり、トークンの価格は大幅に上昇した。またコインベースとバイナンスが直面している訴訟にも追い風になる可能性があるとの期待も出ている。

仮想通貨投資会社ベンチャー・コイニストの創設者ルーク・マーティン氏は、米証券取引委員会(SEC)がバイナンスとコインベースに対して提起した訴訟の「核心部分」は、それらがプラットフォームで未登録証券を提供したという主張であると指摘した

マーティン氏によれば、XRPの件でSECが敗訴したことは、これがSECとその委員長でえあるゲイリー・ゲンスラー氏にとって大きな打撃となると考えている。

彼は、今回の判決は業界にとって「信じられないほど強気」のイベントだと評価した

XRP支持者のジョン・ディートン弁護士も同様の意見を表明し、判決のもう1人の「勝者」はコインベースであり、アルトコインが利益を得る可能性がある指摘した

同様に、仮想通貨取引所ジェミナイのCEOであるタイラー・ウィンクルボス氏は、この判決がコインベース対SECの訴訟を「無効にする」と述べた。彼の双子の兄弟、キャメロン・ウィンクルボス氏は、この判決を「分水嶺」と呼び、SECが仮想通貨に対する権限を主張するのが難しくなると指摘した。

既にコインベース、クラーケン、iTrustSharesはこの決定を受けて、それぞれのプラットフォームでXRPを再上場させる方針を示した

喜びすぎを警告する声も

XRPにとっては良好な結果であったにもかかわらず、いくつかのデジタル資産を専門とする弁護士は、早計に祝福しないよう警告している。

法律事務所ブラウン・ラドニックのパートナーであるスティーブン・パリー氏は、略式判決は「部分的なもの」であり、トーレス判事による判決は判例を作るものではなく、将来の裁判所が選択するならば、説得力のあるコメントとしてのみ機能するものだと指摘した

パリー氏らは、SECがこの判決を不服として控訴する可能性もあり、その結果控訴審でトーレス判事による判決を覆す可能性があるとも言う。しかし、パラダイムの政策責任者であり元SECアドバイザーのジャスティン・スローター氏は、「彼らが上級審で勝っても、最高裁で負ける可能性が高い」と述べた

また、リップルCEOのブラッド・ガーリングハウス氏と共同創業者のクリス・ラーセン氏がXRPの機関投資家への売却を「助長した」というSECの主張にリップルは対処する必要があると、米国のジェームズ・マーフィー弁護士が述べている

SECは、XRPが機関投資家への売却から7億2800万ドル相当が販売されたと主張している。

米国のジョー・カーラサレ弁護士はこの点でガーリングハウス氏を強く非難し、リップルが「不法な利益で7億ドルを稼いだ」と主張した

この主張はトーレス判事によって一旦退けられ、おそらく裁判で争われることになるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン