仮想通貨デリバティブ取引所ビットメックスに対する刑事告発を受け、仮想通貨コミュニティでは分散型金融(DeFi)セクターでも規制当局の怒りに直面することになるのかどうかを議論している。

10月1日、米商品先物取引委員会(CFTC)は、マネーロンダリング規制(AML)や本人確認(KYC)が弱く、銀行秘密法(BSA)に違反したとしてビットメックスの幹部を刑事告発したと発表した。

分散型取引所(DEX)を含むDeFiプロトコルは、最小限のAMLとKYCだけというのが特徴となっている。しかし、ほとんどのプロジェクトが所有権やガバナンスをコミュニティ全体に分散させようとしており、DEXがBSAに準拠するべきかどうかについては議論の余地がありそうだ。

多くのDeFiプロトコルは、完全に分散化させることで規制当局を回避できると信じているようにみえる。しかし、果たしてその考えが正しいのかどうか、疑問が高まっている。いずれにせよ、DeFiプロトコルについては最近、そのオペレーションが高度に集中化されているとの批判も出ている。人気のある15のDeFiプロジェクトのうち、12個のプロジェクトでは「神モード」と呼ばれる管理者キーが存在している。

25個にもわたる連続ツイートで、エンジェル投資家でブロックチェーンコンサルタントのアダム・コクラン氏は、今回のビットメックス告発による、DeFiプロトコルへの影響を考察している。

その分散型の性質のため、規制当局がDEXを直接シャットダウンすることはできないだろうが、規制当局サイドが管理者キーを保持するコア開発者や、DEXのフロントエンドインターフェイスをホストするドメインプロバイダーをターゲットにすることはできると、コクラン氏は主張している。

「もしそれがあるプロトコルで起こった場合、多くのユーザーはそれを使うことをやめ、直接コントラクトと対話せず、本質的にプロトコルを殺してしまう」と、コクラン氏は述べている。

「ここでのポイントは、プロトコルが政府の手の届かないところにあるわけではないことだ。当局が介入できるプレッシャーポイントは常に存在する」

しかし、コクラン氏は、仮想通貨コミュニティが実際にBSAのような規制をDeFiに適用することを望んでいると考えている。「あなたの資金に対する主権とプライバシーを望むことと、犯罪活動を可能にすることとの間には違いがある」と、コクラン氏は付け加えている。

これに対して、ツイッターユーザーの”tendies.eth”は、オンチェーンのあらゆるトランザクションを追跡できる点からみて、DEXは集中型取引所よりも既に優れていると主張している

「CEXはプライベートなデータベースを介したマネーロンダリングを可能にするが、これはすべてのトランザクションが公開されて透明性があるDeFiには当てはまらない。DeFiは、プライベートバンクやCEXよりもはるかに追跡可能だ」

アポロキャピタルの最高投資責任者であるヘンリック・アンダーソン氏は、「このビットメックスの告発にまでかかった時間を考えると、DeFiへの告発が短期的にすぐに発生するとは思わない」と、コインテレグラフに述べている。アンダーソン氏は、DeFiプロジェクトが冷静さを持って、継続する必要があると語っている。

「DeFiプロジェクトは、フリーでオープンなコードによるストップすることがない金融インフラ構築に引き続き焦点を当てる必要がある」

仮想通貨トレーダーの”CryptoWhale”は、ツイッターでDeFiトークンや取引所、プライバシートークンなど「違法に運営されている」プロジェクトが市場には8800以上あり、それがシャットダウンされる可能性があると語っている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン