米国の一部の上院議員がメタ(Meta)社のデジタル通貨開発に反対しているにもかかわらず、ソーシャルメディア大手のデジタルウォレット「ノヴィ(Novi)」の開発は順調に進んでいる。

メタ社の仮想通貨・フィンテック部門の責任者であるステファン・カスリエル氏は2日、同社のメッセンジャー子会社ワッツアップ(WhatsApp)がノヴィ・ウォレットによる取引のテストを開始したことを正式に発表した。

同幹部によると、この新機能は米国内の限定ユーザーを対象に提供されており、ユーザーはワッツアップで「即座に、手数料なしで」お金を送受信できるという。

カスリエル氏は、メタ社が10月中旬にノヴィのパイロット版を導入して以来、どの機能や特徴が「人々にとって最も重要であるか」をテストして知ることができたと主張。また、ノヴィを使用しても、「常にエンドツーエンドで暗号化されている」WhatsAppの個人メッセージや通話のプライバシーには影響しないと付け加えた。

メタ社のワッツアップ部門の責任者であるウィル・カスカート氏は、一部の米国ユーザーがワッツアップ上でノヴィを使って送金を行うことができるようになったとツイッター上でも明らかにした。「ワッツアップを使って大切な人へ送金している人がいるが、ノヴィを使うことで、安全に、瞬時に、手数料なしで送金できるようになる」としている。

メタ社は、2021年10月に大手仮想通貨取引所コインベースおよびステーブルコイン企業パクソス(Paxos)と共同でデジタル通貨のパイロットを正式に開始した。このパイロットは当初、米国とグアテマラで展開され、ブロックチェーン信託会社パクソスが発行するドルペッグ型のステーブルコインであるパックスドル(USDP)を使用した。

その後、米国の非営利団体であるオープン・マーケッツ・インスティチュートは、米司法省を含む複数の規制当局に書簡を送り、メタが「銀行のチャーターなしに預金を受け取る違法なビジネスを行っている可能性がある」と主張した。同団体は特に、USDPがテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)のような上位のステーブルコインに比べて「流動性や利用率がはるかに低い」小規模ステーブルコインの一つであることを指摘した。