米国の銀行ウェルズ・ファーゴが、データを保護するトークン化システムの特許を申請した。7月17日に米国特許商標庁が公開した特許申請書により明らかになった。

 新たに公開された特許申請書は、トークン化により、文書、図、データベース値などのあらゆる種類のデータ要素の検索、アクセス、および保護を行えるシステムについて詳細に記述している。

 特許申請書の説明によると、トークン化は、暗号化方式を用いることで、本来制限されていないデータ要素を処理し、それに対応する制限されたトークンに変える。その後、特定のユーザーだけが制限されたトークンを「非トークン化」して読み出すことができる。このシステムは、認証されたデジタル署名による暗号化を利用して、特定の値をデータに結び付ける。

 その結果、このトークン化システムを用いて、アクセスと機密性の制御、データの発信元の認証、およびデータ要素に加えられた不当な変更を検知することによるデータの整合性の維持を行うことができる。

 ウェルズ・ファーゴは、トークン化を用いることで、「ファイルとデータ要素の種類に関わらず、クラウドなどの公的にアクセス可能な環境にデータが保存されている場合でさえも、ブロックチェーン内に」データを保護することができると説明する。

「既存のシステムで用いられている機能に制限のある匿名の署名とは異なり、このトークン化は、1人の署名者、複数の署名者、または連署人に対応し、慎重に扱うべきコンテンツの機密性を失うことなく情報をパブリックに保存することができる」

 さらに、提案されたシステムにより、コンテンツ保有者や管理者は、ファイルの一部や全体に使用することが可能であるトークン化によりもたらされるアウトプットの希望の形態や、ぼかし、ランダムな文字列、黒塗りなど、制限されたユーザーにアウトプットがどのように表示されるかを柔軟に選ぶことができる。

 つい先月、アイルランドのダブリンで開催されたカンファレンスMoneyConfにて、決済企業サークルのジェレミー・アレール共同創設者兼CEOは、前例のない「仮想通貨革命」について語り、グローバル社会が「あらゆる形の価値保管と公式の記録」にまで及ぶ「あらゆるもののトークン化の始まりにある」と述べたばかりだ。

 ウェルズ・ファーゴは、仮想通貨の基礎となる技術を採用しているが、一方で6月には投資に伴うリスクを避けるため、同銀行が発行したクレジットカードを用いた仮想通貨の購入を禁止した

 それでもなお、ウェルズ・ファーゴがこの分野における初期の先駆者であったことは間違いない。同銀行は16年に、今までに類を見ない中国への国際貨物輸送において、世界で最初にブロックチェーンシステムを用いた銀行間取引を行った。