英国の金融行動監視機構(FCA)は、「暗号資産」に伴うリスクへの対策に関する銀行向けのガイダンスをまとめた。FCAのウェブサイトで11日に文書を掲載した。
事務局長のジョナサン・デイビッドソン氏とメーガン・バトラー氏は声明の中で、「一つの幅広いカテゴリー内のさまざまな取引関係に伴うリスクは多様化する可能性があるため」、銀行は暗号資産を扱う顧客に対し高度な個別対応を実施すべきだと述べ、こう続けた。
「リスクに基づいた方法に従うというのは、銀行がこのような活動を行っている全ての顧客に同じ方法で対応すべきだということではない。そうではなく、一つの幅広いカテゴリー内のさまざまな取引関係に伴うリスクは多様化しうるということを銀行が認識し、これらのリスクに適切に対処することを期待する」
FCAはこのように、顧客が仮想通貨を「犯罪目的で」使用するリスクを避けるため、銀行に多くの「優れた実践方法」を実施するよう提言している。FCAは銀行に対し、「暗号資産」に対する従業員の意識を高めて従業員がリスクを特定できるようにすることや、仮想通貨取引を行う顧客と関わり、仮想通貨取引の性質などを理解することを促した。
また、「革新的技術の開発」への出資やリスクの高い「投機的な投資」といった、仮想通貨使用の「犯罪目的以外の動機」についても強調した。しかし、仮想通貨のグローバル性と匿名性を考慮し、国が発行する仮想通貨を使用する顧客やイニシャル・コイン・オファリング(ICO)のトークンを大量に保有する顧客など、いくつかの「ハイリスクな」指標に言及した。
FCAは、国が支援する仮想通貨を使用するリスクについて、「国際的な金融制裁の回避が目的だ」と説明した。また、ICO関連のリスクを考察し、この種の行為により投資詐欺の犠牲になるリスクが高まると述べた。
FCAは、ビットコイン(BTC)が17年12月末に記録的な高値に達した際、投資家に対し全資金を失う恐れがあると警告した。さらに、ビットコインはバブルだと述べ、供給不足を指摘して「奇妙な」商品だと主張した。
4月にはケニア中央銀行(CBK)も国内銀行に対し同様の警告を行い、仮想通貨の取引業者へサービスを提供しないよう警告した。CBKのパトリック・ンジョロゲ総裁は、「特に消費者保護、詐欺、ハッキング、データ損失において仮想通貨関連のリスクがある。仮想通貨はネズミ講に使われる傾向がある」と述べた。