アラブ首長国連邦(UAE)が中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルディルハム」を用いた初の政府取引を実施した。3月の発表以来となるプロジェクトの主要な進展となる。

UAE財務省とドバイ財務局は火曜日、今回の取引がデジタルディルハム計画のパイロット段階における一環であり、政府の決済プラットフォーム「mBridge」を使用したと発表した。両機関は、これはUAE政府にとって初のCBDC取引であり、「政府および民間セクターの双方における国家デジタル通貨の広範な導入に向けた一歩」であると述べた。

UAE中央銀行は3月、デジタルディルハムの展開を2025年第4四半期に開始する見通しを示していたが、今回がそれ以来の主要な進展となる。

テスト取引は2分以内に完了

ドバイ財務局の中央会計担当エグゼクティブディレクターであるアハメド・アリ・メフタ氏は、この取引について「運用準備態勢を確認し、中央銀行のシステムとのシームレスな技術統合を確保するために実施した」と述べた。

また、「取引は2分以内に完了し、連邦政府と地方政府の間の決済効率を高め、金融取引を迅速化するという目標を裏付けるものとなった」と付け加えた。

段階的な展開を予定

UAE中央銀行が7月に発表した政策文書によると、CBDCの導入は「デジタル時代における中央銀行マネーの将来性を確保する」ことを目的としており、デジタル経済の進化するニーズに対応するものであるという。

また、導入は段階的に進められ、当初は支払い機能に限定する方針が示されている。これは、貯蓄や利子を生む金融商品と競合しないようにするためだ。

CBDCをめぐっては、利用者が中央銀行と直接取引することにより金融システムを揺るがしかねない、あるいはプライバシーを侵害する可能性があるとして懸念する声もある。一方で、支持者は、決済効率の向上や金融包摂の拡大につながると主張している。

世界で正式に導入済みのCBDCは3件のみ

多くの国がCBDCの実験を進めている。10月にはキルギスが中央銀行デジタル通貨の発行計画を表明し、欧州中央銀行(ECB)もデジタルユーロ計画を次の段階へ進める決定を下した

しかし、米国のシンクタンク「アトランティック・カウンシル」によると、正式に導入済みのCBDCはナイジェリア、バハマ、ジャマイカの3か国のみである。同機関の「CBDCトラッカー」では、これら3か国を稼働中のCBDC発行国としており、他に49か国がパイロット段階にあるとされている。

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