2021年3月14日に6万1500ドル(670万円)をつけて最高値を更新したビットコイン(BTC)。4月現在も6万ドル前後で強く推移しており今にも最高値を更新しそうだ。

だが個人投資家にとって気になるのが「既に値上がりしたビットコインを今から買ってよいのか?」という点だ。

大きなリターンを求める場合、今後さらにどれくらい値上がりする可能性があるかどうかを見極める必要がある。

まず着目すべきなのが、今回(2020年夏~2021年)のビットコイン上げ相場の質だ。

前回2017年秋~2018年初に起こった仮想通貨バブルは個人投資家の熱狂によるところが大きかった。一方で今回の相場の背景にあるのが、新型コロナで加速した世界的な金融緩和や米機関投資家や企業によるビットコイン相場への参入だ。米で広く使われているネット決済大手のペイパルで直接仮想通貨が買えるようになったことも市場を広げたと見られている。

(参考記事「マイクロストラテジーがビットコインを追加購入 6億5000万ドル」「ペイパルが米国で仮想通貨サービスを開始」「28兆円有するウォール街投資企業グッゲンハイム、ビットコインの投資検討が明らかに」「仮想通貨運用のグレイスケール、ビットコイン投信の運用資産が50万BTC突破」「米上場企業が仮想通貨ビットコインを買った理由、マイクロストラテジーCEOの発言から紐解く」「モルガン・スタンレー、12のポートフォリオにビットコイン投資追加」「米資産運用大手フィデリティ、ビットコインETFを申請」)

米著名投資家レイ・ダリオも改宗発言「ビットコインは分散投資の対象になりうる」

これまでビットコインに否定的だった著名投資家の「改宗発言」も増えている。

米ブリッジウォーター・アソシエーツ創始者レイ・ダリオ氏

例えば1700億ドル(約17.5兆円)を運用する世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」創始者で著名投資家のレイ・ダリオ(Ray Dalio)氏だ。これまでまた同氏は、ビットコインは価格のボラティリティ(変動幅)が大きすぎることからビットコインの通貨としての可能性を否定してきた。ところが2020年12月8日にネット上で行われたセッションで「ビットコイン(及びその他のデジタル通貨)はこれまでの10年間で金(ゴールド)に似た資産として確立されたと思う。<中略>金投資に対する分散投資になりうる」と発言している。

発言の念頭にあるのが世界的な金融緩和によって引き起こされた「マネーと信用の大洪水」だ。同氏は「価値が下がった通貨建ての資産価格は下落しない。だから複数の資産クラスへの分散投資が大事」としており、ビットコインも分散投資の対象になりうることが示唆された。

マネーの洪水をビットコインで生き延びる?

現在新型コロナによる経済危機が各国を襲う中、多くのベテラン投資家がビットコインを見直し始めているようだ。米仮想通貨取引所最大手コインベースでCTOを務めた経験もある投資家バラジ・スリニヴァサン(Balaji Srinivasan)は「2021年は10年戦争の始まりとなる。BTC(ビットコイン)対MMTだ」。金融緩和策の限界論を突き破るMMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)を背景としてビットコイン価格がさらに上がっていくという皮肉めいたロジックだ。

関連記事「仮想通貨ビットコイン、もはや周縁的な資産ではない=ソロスファンドの幹部が主張

ビットコイン相場は2021年に1000万円~2000万円に向かうか

これからビットコイン相場に参入する投資家にとって気になるのはここからの価格上昇余地だ。

コインテレグラフ読者にはお馴染みのトム・リー氏

興味深いのは10万ドル(約1030万円)超えのビットコイン価格予想が相次いでいることだ。

  • 米株式分析会社ファンドストラッド(Fundstrad)のトム・リー代表が2020年12月31日放映の米CNBC番組の中でビットコインが2021年に3倍以上上昇する可能性があると予想。放映時点のビットコイン価格から計算すると10万ドルとなる。
  • 仮想通貨取引所バイナンスUSのキャサリン・コリーCEOはビットコインが2021年末までに10万ドルに達すると予想している。「おそらく5万ドルが妥当だろうと思っていたが、より大きくなりそうだ。2021年末までにビットコインは75000ドル〜10万ドルに到達するだろう」(関連記事
  • 米資産運営会社のモルガンクリークのマーク・ユスコCEOが5月、ビットコイン価格が12か月以内に10万ドル(約1030万円)に到達することを予想。同氏は今後7~10年の間にBTC価格が40~50万ドル(約4000~5000万円)に向かうとしている
  • ビットコイン相場をS2F(ストック対フロー)モデルで分析するPlanB2021年12月までにビットコイン価格が10万ドル~28万8000ドル(約1030~約3000万円)に到達することを予想。(関連記事「ビットコインが2021年12月に10万ドル到達は「間違いない」=S2Fモデル考案者のPlanB」「12月までに28万ドル向かう? PlanB氏は「10万ドルでは止まらない」と主張」) 
  • 米仮想通貨ヘッジファンドのパンテラキャピタル(Pantera Capital)のCEOが2021年8月までにBTC価格が11万5000ドル(約1030万円)に達することを予想
  • 仮想通貨ヘッジファンドのパンテラキャピタル(Pantera Capital)の共同チーフインベストメントオフィサーJoey Krug氏が2021年末までにBTC価格が10万ドル(約1030万円)に達することを予想
  • 米仮想通貨分析会社Messari社が2021年の展望の中で、同年末までにビットコインが10万ドルに到達することを予想
  • 英仮想通貨分析会社CoinShareがが2021年の展望の中で、同年末までにビットコインが10万ドルに到達することを予想
  • 仮想通貨データサイトCoinGeckoのボビー・オンCEOが2021年の展望として、ビットコインが高値更新する中次の注目ポイントは10万ドルにあることを明言
  • 米NASDAQ上場の仮想通貨取引所Diginex(本拠香港)のRichard Byworth代表が2021年にビットコインが10万ドルに到達するとコメント (「ビットコインは「半減期後の強気サイクルの始まりにある」=仮想通貨企業ディジネックスCEO」)
  • 米仮想通貨ファンドBlockTower CapitalのAri Paul氏が9~22か月でビットコインが10万~40万ドルまでいくと予想
  • 中国版タクシー配車アプリである「快的」の創始者・陳偉星(チェン・ウェイシン)氏が、ビットコインが今後1.5~2年で1BTC=40万ドル(約4000万円)になると予想
  • 元ゴールドマンサックス欧州出身で仮想通貨投資関連の調査会社を経営する投資家のラウル・パル氏は、ビットコインが2021年末までに「40万ドル(約4000万円)〜120万ドル(約1億2000万円)」に達する予想
  • 米ブルームバーグ・インテリジェンスのシニア商品アナリストのマイク・マッグローン氏が、ビットコインの2021年の潜在的な価格ピークは1BTCあたり40万ドル(約4000万円)になる可能性があると予想
  • ブロックチェーン分析会社グラスノード(Glassnode)のCTO(技術責任者)であるRafael Schultze-Kraft氏が、ビットコインは早いペースで11万ドルに到達すると予想
  • 2011年に設立された中国初の仮想通貨取引所BTCCの元CEOであるボビー・リー氏が、ビットコインは2021年に20万~25万ドルに達すると予想(関連記事「「ビットコインは今年12月にピークを迎える」 仮想通貨起業家リー氏 20~25万ドルになると予想」)
  • 米大手仮想通貨取引所クラーケンのジェシー・パウエルCEOはビットコインの価値は2021年末までに1BTCあたり「ランボルギーニ」価格(3000万円以上)になり、2023年までに「ブガッティ」価格(数億円以上)になるだろうと予測。10年以内に100万ドルを目指すという見方も披露している

2021年内という比較的短い時間軸で語られている点が興味深い。

また「金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学」(筑摩書房)で有名な作家・投資家のロバート・キヨサキ氏も昨年末から新年にかけてツイッターを更新し、2021年はビットコインにとって「素晴らしい年」になるとしている

関連記事「『金持ち父さん』キヨサキ氏、仮想通貨ビットコインが2021年に5万ドルになると予想

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ビットコイン相場予想は2000~3000万円でも「保守的」?

さらに2000万円を超える相場観も出てきていることに注目だ。

ツイッターで20万人のフォロワーを誇るビットコインアナリストのWill Woo氏は先月「(独自の分析モデルによると)2021年末までに20万ドルというのも保守的な予想だ。30万ドルでもあり得なくない」としていた。同氏は売りにでるビットコイン現物在庫が減ってきていることをビットコインに強気な理由の一つにも上げている

仮想通貨取引所におけるBTC現物の在庫量 出展:CryptoQuant

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米シティバンクも1BTC=約3300万円のビットコイン価格予想

ビットコイン相場の強気予想は金融機関からも聞こえ始めている。

2021年はどこかの国の中銀がビットコインを買うという予想も

2020年11月には米シティバンクのアナリストでマネージングディレクターTom Fitzpatrick氏が、2021年末にはビットコイン価格が31万8000ドル(約3300万円)まで上昇すると分析。「考えられないほどの強い上げの後、痛みの伴う調整がある」としている。 

(関連記事「シティバンク 仮想通貨ビットコイン31万8000ドルを予想」)

同氏の分析によるとビットコインの強気相場は毎回長くなっており、今回の上げ相場が2022年末まで続く可能性を示唆している。

シティバンクのアナリストによるBTC価格分析

シティバンクのアナリストが顧客向けに発行したレポート

30兆円運用の米投資会社グッゲンハイムも1BTC=4000万円のビットコイン価格予想 

ビットコイン価格が将来5000万円以上になるという予想もある。論拠となるのはビットコインが「デジタルゴールド」として取って代わるとされる金(ゴールド)市場の規模との比較だ。

世界の金市場は約930兆円規模だ。これに対しビットコインの時価総額は2021年1月3日現在63兆円。まだまだ金の6%程度と成長の余地があるというわけだ。

米仮想通貨取引所ジェミナイ(Gemini)の創業者兼CEOであるウィンクルボス兄弟はビットコインは「金より優れた金」であり「50万ドル(5150万円)までの価格上昇は不可避」と断言している。

ビットコインは巨大な金市場に追いつくか?

(関連記事「仮想通貨ビットコイン、1BTCが50万ドルになるのは「不可避だ」=ウィンクルボス兄弟が主張」「ウィンクルボス氏「仮想通貨ビットコインは金よりも金として優れている」)

また米投資銀行の名門JPモルガンも2020年12月、ビットコインと金の市場を比較して「ビットコインは金の機関投資家シェアを奪う」としていた

極めつけは約28兆円の運用資産を保有する米ウォール街の投資企業グッゲンハイムだ。グッゲンハイム・パートナーズで最高投資責任者を務めるスコット・ミナード氏が米ブルームバーグでのインタビューで「ビットコインは本質的には40万ドル(約4125万円)の価値がある」と発言したのだ。同社はビットコインが10000ドル前後の時に資金を配置しはじめたという。

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今回置いてけぼりの「中国人がビットコインを買えるようになったら1BTC=50万ドルもあり得る」

かつては世界最大のビットコイン取引高を誇った中国市場からの見方も見てみよう。

中国では2017年9月4日、中国人民銀行が「ICO (イニシャル・コイン・オファリング、仮想通貨で広く資金調達する手法) による融資リスク防止についての公告」を公布し、中国国内における仮想通貨取引の全面的な中止を決定した。以来中国では仮想通貨取引所の運営が禁止されたためOTC(店頭)取引が仮想通貨取引の主要な場となっていた。そのOTC取引も2020年11月には違法となる可能性があるとの報道が出ている

中国は2017年秋以前は世界最大のビットコイン市場だった

現状一般の中国人は今回のビットコイン強気相場に参加できないでいるという。

中国の著名ブロックチェーン企業に在籍する中国人識者は「中国では法定通貨対仮想通貨取引は違法だ。そもそも中国系の取引所(フォビ等)でさえ中国人向けには仮想通貨(USDT)対仮想通貨のOTC取引を媒介するプラットフォームとなっている。そんな中(人民元からUSDT等仮想通貨に換金する唯一のルートである)OTC取引の取り締まりが厳しくなっている。仮想通貨に詳しい人でもマネロンにからんだビットコインをつかまされた場合銀行口座を凍結されるリスクもある。だから一般の中国人はビットコインを買えない状態だ」。

裏返すと「一般の中国人がいつかビットコインを買えるようになった場合、1BTC=50万ドル(5000万円)になってもおかしくない」(同氏)

中国仮想通貨業界からは2021年にビットコイン10万ドルを見据える声

中国の仮想通貨業界のプレーヤーはビットコイン相場の今後をどう見ているのだろうか。元ビットメインの記者が運営する中国の仮想通貨メディアが2020年11月にオンラインで開いたイベントでも10万ドル以上の予想が相次いだ。

  • 仮想通貨TRONのジャスティン・サン代表は2021年末~2022年初に1BTC=10万ドル前後を予想。個人投資家でなく機関投資家がメインプレーヤーになることで上げ相場の期間が長くなると指摘した。
  • 仮想通貨マイニング企業ライビットを経営する江卓尔(ジャン・ジョーアー)氏は2022年3月29日に9~12万ドルを見据える。今回の相場は価格上昇がゆっくり進んでいることから2022年以降にも強気相場が続く可能性があるとした。
  • 仮想通貨マイニング企業インビットを経営する朱砝(ジュー・ファー)氏は2022年初に10~35万ドルを予想。
  • 仮想通貨マイニング企業「火星クラウドマイニング」の創業者・商思林(シャン・スーリン)氏はフィボナッチ比率分析をベースに2022年3月に15~16万ドル前後まで行くことを予想。

これらの識者が共通して注目したのが2020年5月にあったビットコインの半減期だ。半減期においてはマイナー(採掘者)報酬が半減する。ビットコイン価格は半減期を境に大きく上昇してきた過去がある。(関連記事「ビットコインは前回半減期の上昇ペースを上回る|2万ドルに向けてトレンド加速」)

ビットコイン半減期から半年で価格が伸び始めた

仮想通貨TRONのサン代表は「一回目の半減期からビットコインは100倍上がった。二回目は19~20倍だった。そして今回は少なくとも5倍は上がるだろう。となると10万ドルになることが推定される」とのべている。

また仮想通貨マイニング企業インビットを経営する朱氏は「ビットコインは初めての強気相場で100倍あがった過去がある。今ではビットコインの規模も大きくなっているのでそこまで動かす資金の動きはないと思われるので、先ずは10万ドルが目安だ。一方で現在個人投資家の手持ち資金が少なくなっているが逆に大口投資家が価格を上に持ってきやすくなっている。だから10万ドル~30万ドルが視野に入る」と予想に含みを持たせている。

伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズも「将来性からみてビットコインは安い」

伝説の米マクロ投資家といわれ特に80年代に名をはせたポール・チューダー・ジョーンズ氏もビットコインの未来にかけている。2020年12月に行われたヤフーファイナンスのインタビューで資産の1~2%分をビットコインで持っていると明かしたのだ。

関連記事「”ウォール街のレジェンド”、ポートフォリオに仮想通貨ビットコイン何パーセント保有か明かす

ジョーンズ氏は米ヤフーファイナンスに対し、金の市場規模との比較の中でビットコインの将来性を期待を持って語り、今後「大幅に上昇する」としていた。「ビットコインは1999年のインターネット株を思い起こさせる。当時は誰もそれらの株をどう評価するかわからなかった」(同氏)。

ビットコインの上昇は「まだ始まったばかり」1億円もあり得る?

また、先述の米投資運営会社グッゲンハイムの強気BTC価格予想(40万ドル)を受け、仮想通貨相場分析会社Quantum Economicsの創業者マティ・グリーンスパン氏はBTC価格は「2万3800ドルから100万(約1億円)ドルの間のどこかになりえる」とも述べている。

米大手仮想通貨取引所クラーケンの事業成長担当ダン・ヘルド氏も2020年12月29日に発表した動画で、2021年にビットコインが「スーパーサイクル」に突入し最終的には100万ドル(約一億円)に達するだろうと主張している

(関連記事「ビットコインの上昇は「まだ始まったばかりだ」 仮想通貨アナリストのグリーンスパン氏」)

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翻訳・編集:コインテレグラフジャパン編集部