直近の仮想通貨市場の調整を受け、企業によるビットコイン・トレジャリー戦略の持続性に改めて疑念が再燃している。しかしマトリックスポートによれば、最大手のストラテジーは依然としてS&P500指数への採用に向けた道を維持しているという。

大幅な調整局面であってもストラテジーのビジネスモデルが果たして耐えられるのかとの疑問が呈されてきた。マトリックスポートは、水曜日に公開したリサーチレポートで、世界最大のビットコイン保有企業であるストラテジーが大量の強制清算に追い込まれるリスクは「短期的にはない」と指摘している。

むしろ、今回の調整で圧力を受けているのは割高な純資産価値(NAV)水準で株式を購入した株主であり、現在はNAV圧縮の影響を最も強く受けている。

マトリックスポートによれば、ストラテジーの株価は474ドルのピークから207ドル前後まで下落したものの、同社は依然として12月のS&P500指数入り候補として位置づけられているという。

「ビットコイン価格と重ねて比較すると、ストラテジーの株価は相対的に割安に見える。12月のS&P500採用の可能性は依然として残っている」
Source: Matrixport

10Xリサーチも10月末、「年末までにストラテジーがS&P500に組み入れられる確率は70%」と予測している

ストラテジーはS&Pグローバル・レーティングから「B-」の信用格付けを取得した。これは投機的で非投資適格とされ、いわゆる「ジャンク債」にあたる評価だ。

ビットコイン・トレジャリー企業がS&Pの格付けを取得するのは初めてであり、仮想通貨トレジャリー企業を評価するうえで新たなベンチマークが形成された形だ。

中小規模のDAT企業は苦境

一方、より小規模なデジタル資産トレジャリー企業(DAT)は依然として厳しい状況にある。今年、多くの企業で市場純資産価値(mNAV)が重要水準を割り込み、追加でビットコインを購入するための資金調達能力が制限されてしまったためだ。

mNAV比率とは、企業価値を保有する仮想通貨の価値で割ったもので、一般にmNAVが1を上回れば新株発行によってデジタル資産を積み増すことができるが、1を下回ると資本調達が困難になる。

今年はストラテジーをはじめ、ビットマイン、メタプラネット(MTPLF)、シャープリンク・ゲーミング(SBET)、DeFiディベロップメント(DFDV)といった企業がいずれもこの基準を割り込んだ。

DAT企業のmNAVの推移 Source: Standard Chartered

こうしたDAT企業が調整局面で圧力を受ける一方、ストラテジーのマイケル・セイラー会長はビットコインの先行きについて懸念を示していない。セイラー氏は火曜日のFoxビジネスのインタビューで、「当社は80〜90%の下落にも耐えられるよう設計されている」と語った。

なおストラテジーは月曜日、新たにビットコインを8178BTC(8億3500万ドル相当)取得したと発表しており、これは過去1カ月間の平均購入量である約400〜500BTCを大きく上回る規模となっている。

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