S&Pグローバル・レーティングは、マイケル・セイラー氏率いるビットコイン・トレジャリー企業ストラテジーに対し、「B−」の信用格付けを付与した。これは投資不適格(いわゆるジャンクボンド)に分類される水準だが、S&Pは同社の見通しを安定的と評価している。

ビットコイン集中とドル流動性の低さを懸念

S&Pグローバルは10月27日のレビューで「ストラテジーはビットコイン集中度の高さ、事業の狭さ、リスク調整後資本の弱さ、ドル建て流動性の低さが懸念点である」と指摘した。

ストラテジーは現在、64万808BTCを保有している。これらは株式および社債発行を通じて調達した資金で取得されたものだ。

S&Pによると、安定的という見通しは、同社が転換社債の償還を慎重に管理し、優先株の配当を維持することを前提としている。

また、S&Pはストラテジーが「構造的な通貨ミスマッチ」を抱えている点を強調した。すべての負債がドル建てである一方、保有するドル資産の多くはほぼ損益分岐点で運営されているソフトウェア事業の資金に充てられているという。

BTCトレジャリー企業として初のS&P格付け

この評価は、ビットコイン・トレジャリー企業に対してS&Pグローバルが初めて格付けを実施したケースとなる。これにより、伝統的金融がビットコイン中心型ビジネスの信用リスクを評価するための新たな基準が生まれたことになる。

S&Pによると、今回の「B−」格付けは分散型ステーブルコイン発行体スカイ・プロトコル(旧メーカーダオ)に付与された評価と同水準である。

スカイ・プロトコルの場合は、預金者の集中、ガバナンスの中央集権性、資本力の脆弱さが評価の理由とされた。

ストラテジーが「ジャンク債」区分から脱するには、6段階上昇して「BBB−」に到達する必要がある。

格上げの可能性は?

S&Pグローバルは今後12カ月以内の格上げについて「可能性は低い」としつつも、ドル流動性の改善や転換社債の削減、資本市場へのアクセス維持などが実現すれば、格上げを検討する可能性があるとした。

一方で、ビットコイン相場の急落局面で転換社債の償還期を迎えた場合、ストラテジーが低価格でビットコインを売却せざるを得なくなるリスクも警告している。また、資本市場での資金調達力が低下すれば、さらなる格下げにつながる恐れもあるという。

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