クロスボーダー(国をまたいだ)送金市場でブロックチェーン企業による競争が激しくなっている。
1973年からクロスボーダー送金市場を牛耳ってきたSWIFT(国際銀行間金融通信協会)。これに対して、ブロックチェーンを使った決済企業のリップルはSWIFTより速くて安い国際送金サービスの開発でSWIFTに脅威を与える一方、最近では中国のアリペイ、米国のJPモルガン・チェースなどが参戦している。
そんな中、IBMと組んでこの市場で存在感を高め始めたのが、仮想通貨ステラだ。他社とどのように差別化していく計画なのだろうか?共同設立者であるジェド・マケーレブ氏がコインテレグラフ日本版の取材に答えて、ステラはUnbanked(銀行口座を持たない者たち)に対するサービスである点を強調した。
ステラの差別化ポイント
リップルの共同創業者として知られるマケーレブ氏。リップル社を去った後、ステラを立ち上げた。実は、マケーレブ氏は、民事再生手続き中のマウントゴックス(Mt.Gox)の創業者でもある。
同氏はコインテレグラフ日本版に対して、「ステラは世界中の新興市場で銀行口座を持っていない20億人のために金融サービスを使ってもらうことがミッションだ」と主張。「SWIFTやリップルは銀行に焦点を当てる一方、ステラは送金業者、決済代行サービス、多国籍な技術系の企業、金融技術企業、スタートアップ(多くは新興国出身)などを対象にしている」と述べた。「大手銀行や企業だけに焦点を当てているわけではない」という訳だ。
ブロックチェーン企業がクロスボーダー送金市場で普及するきっかけは何か?マケーレブ氏は、銀行口座を持たない者たちによるボトムアップだろうと予想した。同氏は「破壊的な分散型技術の初期からの採用者であるステラのような組織が、現在の金融モデルから不利益な「不平等」に扱われている人たちと一緒に変化を生み出すだろう」と自信を見せた。
さらにマケーレブ氏は、ステラがNPOである点も強調。「世界の金融インフラはインターネットのような公益事業として扱われるべき」と考えており、「利益を稼ぐことが狙いの一つの企業によって所有されるべきではない」という見方を示した。
銀行口座を持たない世界の者が生み出す市場こそ、仮想通貨・ブロックチェーン業界が狙うべきという見方は他にも出ている。
参議院議員(日本維新の会)の藤巻健史氏は、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に日本企業が今から対抗する手段として、仮想通貨は大きなポテンシャルを秘めているとみており、その鍵を握るのは、GAFAの決済サービスを使えない人たちが20億人の市場だという見解を示している。
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ブロックチェーンが”破壊的”である本当の意味
この他、マケーレブ氏は強調したのは、「本当の意味で」パブリックでオープンな金融インフラであり「破壊的な分散型技術」であることだ。大手企業などが進める関係機関の間でのみ機能するプライベート・ブロックチェーンに対する根本的な懐疑心がそこにはある。昨年末には「ビットコインのブロックチェーンである必要はないが、パブリック(ブロックチェーン)でなければ、あなたは的外れなことをしている」とまで発言した。
マケーレブ氏はコインテレグラフ日本版に対して、パブリックチェーンであることの重要性を改めて指摘。次のように述べた。
「本当にオープンでユニバーサルな金融インフラを作るためには、パブリックブロックチェーンで本質的に異なる金融システムと組織をつなげなければならない」
また、ブロックチェーンの重要な特徴の一つには、公の記録を全ての人が見ることが可能なことで、誰も気まぐれで変えられないことと解説。このおかげで、お互いに知らない機関同士でも取引することが可能になるとし指摘。「だからこそビジネスのやり方を完全にひっくり返す可能性がある」。お互いが知っているもの同士での取引が前提のプライベートチェーンをけん制した。
一方、同氏はステラはビットコインとは異なる目的で使うのに適していると解説。ステラはビットコインに刺激されて作られたものの、ビットコインは良き価値保存手段で、ステラは決済プロトコルであると主張した。ビットコインの取引時間は10分から数時間かかる一方、ステラは「ほぼリアルタイム」で取引できると述べた。