ビットコイン(BTC)は金曜日に4%下落して8万8140ドルまで沈み、11月以降の下落幅は19%に達した。一方、S&P500は史上最高値まであと1%未満にまで迫っている。この鮮明な乖離は、中央銀行による政策転換と信用不安の高まりを背景に、ビットコインの急反発という形で縮小する可能性が高い。

こうした完璧な追い風が重なることで、ビットコインが年末までに心理的節目となる10万ドルに到達するシナリオが浮上している。

債券の魅力低下とテック企業の信用不安がBTC上昇を後押し

最重要材料は、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的引き締め(QT)からの転換だ。QTとは、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の償還資金を再投資せず、バランスシートを縮小させることで、市場から流動性を吸収する政策を指す。FRBは12月1日付でこのプログラムを正式に停止した。

FRBの総資産 Source: TradingView

過去6か月でFRBのバランスシートは1360億ドル縮小し、市場から大量の資金が吸い取られていた。しかし市場はすでに利下げを織り込み始めており、CMEのFedWatchによると、12月10日の会合で利下げが行われる可能性は87%に達している。市場は2026年9月までに3回の利下げを完全に織り込んでいる。

米マネーマーケットファンドの資産額 Source: Bloomberg

利下げと流動性増大は債券需要を根本的に押し下げる。利回り低下により新規債券の魅力が弱まるためだ。ブルームバーグによると、米国のマネーマーケットファンドは史上最高の8兆ドル規模に膨らんでいる。

オラクルの債務に対するCDS Source: Bloomberg

さらに株式市場、特にテック企業の信用リスクが、資金のローテーションを後押ししている。オラクル(ORCL US)のデフォルトリスクをヘッジするCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)コストは2009年以来の高水準に急上昇した。同社の負債総額(リース含む)は8月末時点で1050億ドルに達する。

オラクルはOpenAIとの契約から数千億ドルの売上を期待しているとされ、銀行を除く米国内最大級の社債発行企業でもある。シティグループの信用戦略レポートは「今後どれほどの供給増が控えているのか、投資家の懸念が急速に高まっている」と指摘した。

バンカメ:利上げ据え置きは景気減速リスクを高める

投資家心理を冷やしているのは、AIと原子力を活用し米国の科学生産性を倍増させるというトランプ政権の「ジェネシス・ミッション」も含め、借金依存型の巨大プロジェクトによる財政負担への不安だ。債務保証コスト急騰は、市場が高い緊張状態にあることを示している。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、FRBが「据え置き姿勢」を示せば景気減速リスクが一段と高まると警告する。こうした不確実性と「景気刺激に依存しない成長」への需要が、希少資産としてのビットコインの魅力を強めている。

FRBによる流動性吸収の停止と市場の積極的な利下げ織り込みは、ビットコインに極めて強い追い風となる。そこにAI関連の巨額債務に端を発するテック信用不安が重なり、資金は構造的に希少資産へと向かいやすい状況だ。

この収束が、今後数か月以内にビットコインが10万ドルの壁を突破する明確な道筋を形成している。

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

仮想通貨, Federal Reserve, 政府, ビットコイン価格, テクノロジー, 仮想通貨投資, Bank of America, Economy, マーケット, アメリカの仮想通貨, Inflation, Bonds, Donald Trump, Market analysis