米国の大手銀行JPモルガン・チェースが独自のデジタルコインを開発したと14日付のCNBCが報じた。米銀行が独自の仮想通貨を作るのは初めてだという。

記事によると、JPモルガンの独自コインの名前は「JPMコイン」。企業間の決済で1日平均6兆ドル(約660億円)の取引量を誇るJPモルガンだが、JPMコインはその「ほんの一部」で使われることになるという。「2、3ヶ月」のうちにトライアルが始まるそうだ。

JPMコインは、ステーブルコインに似た特徴を持っているという。記事によると、顧客は、銀行に米ドルを預金した後にコインを発行してもらう。そして顧客が支払いなどでコインを使った後、銀行がコインを破壊し、同等額の米ドルを顧客に戻すことになるという。

JPモルガンも自社ブログで「JPMコイン」について詳細を発表した

JPモルガンのブロックチェーンプロジェクトの代表であるウマル・ファルーク氏は、「(ブロックチェーン技術の)応用は、単刀直入に言って終わりがない」と述べた。

ビットコイン批判の急先鋒

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、ビットコイン批判の急先鋒として知られている。先月にも、ビットコインが最高値から80%下落していることについて「満足できない」発言。それ以前はビットコインについて「詐欺」とか「どうでもいい」などと話していた。

ただ一方でブロックチェーン技術については高く評価。実際、JPモルガンはブロックチェーンに積極的に投資を進めていて、昨年9月にはJPモルガンが手掛けるブロックチェーン決済プラットフォームは、75以上の金融機関が参加するまで拡大したと報じられた

【追記】

「JPモルガンは分かっていない」

奇しくも14日は、デジタルゴールドとしてのビットコインを称賛するコメント相次いだ日。マネーデジタル化の流れが止まらない中、ビットコインと法定通貨に連動するデジタル通貨、どちらが覇権を握るのだろうか。英国の歴史家ニーアル・ファーガソンは、投資家は、ビットコインの特異性が好きなのであって、法定通貨に裏付けされたコインはそうした魅力に欠けていると発言した

JPモルガンの独自仮想通貨について、仮想通貨業界からは冷ややかな声が相次いでいる。

The Blockによると、仮想通貨の先物取引を手がけるクリプト・ファシリティーズのティモ・シュライファー氏は、「JPモルガンは相変わらず何をやっているのか分かっていない」と批判。「閉鎖的なネットワークのためにブロックチェーンを使うなんて、車を洗うためにデザイナー・スーツを着るようなものだ」と述べた。

また、米仮想通貨資産マネジメントのモルガン・クリーク・デジタルの創業者、アンソニー・ポンプリアーノ氏は、次のようにツイートした。

「JPモルガンがステーブルコインを立ち上げている。すぐに全ての銀行が同様に発行するだろう。世界のエリートのための閉鎖的なシステムは、一般人のために作られるオープンなシステムにいつだって負けることになる。ビットコインを買って、銀行を売ろう」

また、米有力経済メディアMarket Watchによると、仮想通貨研究のコインセンター幹部、ジェリー・ブリト氏は、JPMコインについて「そもそも仮想通貨ではない」と批判。次のように述べた。

「仮想通貨というのは、オープンで許可がいらないものだ。あなたがダウンロードしたければ、許可を取る必要はない。いくつかのソフトウェアが必要なだけだ」