ロシアの中央銀行の関係者は、中銀が主導する試験的なイニシャル・コイン・オファリング(ICO)が「成功した」ことを明らかにした。タス通信が11日に伝えた

 ロシア中央銀行の金融市場開発部の副部長、イヴァン・セマギン氏はタス通信に対し次のように語った。

中央銀行のサンドボックスの枠組みの中で、我々は既存のインフラストラクチャに基づいて試験的にICOを実施した。技術的には成功したが、法的には課題が山積みだ。

 タス通信によれば、ロシア貯蓄銀行(スベルバンク)とロシアの国民和解預託機関(NSD)が今年夏、レンタルスペース業のLevelOne(本社:モスクワ)とともに、試験的なICOを実施した。

 セマギン氏は、ロシア極東とアジア太平洋地域の交流とパートナーシップを促す年1回のイベント「東方経済フォーラム(EEF)」の「金融とオフショアセンターとしての極東」と題したディスカッションにおいて、「試験の成功」を発表した。

 フォーラムにはロシアと中国の当局関係者やジャーナリストが参加。仮想通貨とICOに議論が及んだ際、ロシア国営極東開発基金のCEO、アレクセイ・チェクンコフ氏は、国家に多額の資金をもたらす有用な技術であると語った。

 同氏はシンガポールと米国の仮想通貨規制に対する合理的なアプローチを例として挙げ、ビットコインについても、「多くの電力を無駄にする有害なピラミッドスキーム」と呼び、懐疑的であったと付け加えた。

 スベルバンクは今年初め、仮想通貨に関する技術の試験を行い、同国初と言われていた。コインテレグラフは1月、スベルバンク・スイスランドAGを通して機関投資家向けのサービス提供を開始したと発表した。

 タス通信によれば、新しいデジタル金融サービスと技術のための規制プラットフォームを4月から正式に開始した。ロシア中央銀行は、他の国家機関と共同で、プラットフォームに参加する試験的サービスと技術を評価している。

 しかし、ロシア政府高官のなかには、仮想通貨やICO、ブロックチェーンに対して懐疑的な意見を持つものもいる。

 コインテレグラフが9月初めに報じた通り、デジタル・技術開発担当の大統領特別代表を務めるドミトリー・ペスコフ氏は、国として仮想通貨の流通や発行の準備が整っていないと述べた。また、プーチン大統領自身も、ロシアが独自の仮想通貨を保有すべきではないと述べた