ロシア政府が検討している「デジタル金融資産」に関する法案について、新たな規制を導入することが明らかになった。60万ルーブル(約104万円)以上の法定通貨と仮想通貨を交換する場合、もしくは同等の海外での所得税会計処理をする場合は外国為替規制を適用するという。現地の仮想通貨メディアのフォークログが報じている。

 ロシア下院金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ委員長によれば、この規制内容についてはまだロシア下院に説明されていないという。フォークログは、マネーロンダリングやテロ資金防止のためにロシアの銀行は60万ルーブル以上の取引を監視していると指摘する。

 今年3月20日に下院に提示された「デジタル金融資産」に関する法案の最新バージョンでは、仮想通貨やデジタルトークンを「デジタル金融資産」と定義し、認可された仮想通貨取引所でのみ取引できるとしている。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の顧客確認(KYC)についても詳細な規定がされている。3月20日の草案でも、マネーロンダリングやテロ資金防止の観点から、仮想通貨取引所に個人確認を求めていた。

 取引所の事業者は連邦法115-FZ(反マネーロンダリングとテロ資金防止)の第5条に従わなくてはならず、それができない場合はロシア金融監督庁からライセンスをはく奪される。

 ロシア仮想通貨ブロックチェーン協会(RACIB)のユーリ・プリパチキン会長は、仮想通貨取引を銀行と金融監督庁の管理下に置くという法案について、仮想通貨マイナーなどの国外流出につながると指摘した。最新の法案では、仮想通貨マイニングによる収益については言及されていない。

 法案では仮想通貨を決済手段ではなく資産と分類しており、政府はデジタル資産の取引にも課税する方針とみられる。 

 ロシア大統領アカデミーの経済・行政部門のTeimuraz Vashakmadze准教授によると、仮想通貨の匿名性が課税を難しくしているが、仮想通貨のトレーダーは13%の個人所得税を課される可能性があるという。