米フィンテック企業ロビンフッドが、カナダ拠点の仮想通貨企業ワンダーファイ(WonderFi)を約2億5000万カナダドル(約264億円)で買収することが明らかになった。買収はロビンフッドのグローバル展開の一環と位置づけられている。
ロビンフッドは5月13日のプレスリリースで、買収は2025年後半に完了する見通しと発表した。
ワンダーファイは、カナダ国内で最も長い歴史を持つ仮想通貨取引プラットフォーム「ビットバイ」と「コインスクエア」を運営しており、カストディ資産総額は21億カナダドル(約2217億円)以上。これらのプラットフォームは仮想通貨の売買、ステーキング、カストディサービスを提供している。
ロビンフッド・クリプトの上級副社長ヨハン・ケルブラ氏は次のようにコメントしている。
「ワンダーファイは初心者から上級者まで幅広い仮想通貨ユーザーを対象とした強力なブランド群を築いており、ロビンフッドのカナダでのミッションを加速させる理想的なパートナーだ」
買収条件によると、ロビンフッドはワンダーファイの全発行済株式を1株あたり0.36カナダドルで取得する予定であり、これはトロント証券取引所における直近の終値に対して41%、30日間の加重平均価格に対して71%のプレミアムをつけた価格となっている。
この取引は、規制当局および裁判所の承認に加え、ワンダーファイ株主による承認など、通常の完了条件を満たす必要がある。
仮想通貨業界のM&A熱が再燃
今回の買収は、2025年に入って加速している仮想通貨業界のM&A(合併・買収)トレンドの一環であり、その背景にはトランプ大統領による規制緩和の動きがある。
今年に入り、主要な買収案件としては、コインベースによるデリビットの29億ドルでの買収や、リップルによるヒドゥンロードの12億5000万ドルでの買収が挙げられる。
また、5月2日にはクラーケンが先物取引プラットフォーム「ニンジャトレーダー」を買収し、米国における仮想通貨先物およびデリバティブ事業の拡充を図った。
ロビンフッド自体も2024年に2億ドル規模で仮想通貨取引所ビットスタンプを買収し、米国内の機関投資家向けサービスに対応できるようになった。
さらに5月7日には、欧州の個人投資家が米国株を取引できるようにするブロックチェーンネットワークを開発中との報道もあった。
ワンダーファイは2024年に好調な業績を記録しており、年間取引高は35億7000万カナダドルに達し、前年比で28%増加したという。