欧州連合(EU)は積極的に「マネーの未来」に向けて準備を進めている。昨年、画期的な包括的な仮想通貨法制となる「暗号資産市場(MiCA)規制」を最終決定し、2024年に施行予定だ。さらに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入計画も進展しており、「デジタルユーロ」の形で具体化しつつある。

多くのEU加盟国がデジタルユーロを受け入れ、その潜在的な利点をアピールしているが、全員が賛同しているわけではない。スペインの最近の調査では、65%のスペイン人がデジタルユーロの使用に興味がないことが明らかになった。スロバキアの議会は6月に、デジタル通貨の導入を控え、市民が商品やサービスの支払いに現金を使用する権利を憲法に明記する措置を通過させた

そしてドイツでは、地元の政治家がデジタルユーロに反対するだけでなく、金融革命のための別のデジタルソリューションとしてビットコインを提案している。

コインテレグラフは、ドイツ議会の議員でビットコイン活動家であるヨアナ・コタール氏に、デジタルユーロに対する意見、そして彼女がビットコインを信じる理由について話を聞いた。

コタール氏はEUのデジタル通貨解決策について、「デジタルユーロの強硬な反対者である」という立場を明確にしている。

彼女は、デジタルユーロが中央銀行に決済と所有の「上限」を設定することを可能にし、市民を「無力にする」可能性があるとした。

「デジタルユーロは、私たち一人ひとりが完全に監視されることを意味する。自由主義者として、私はこれを断固として拒否する。監視に反対で自由を求める者は、デジタルユーロは必要ない!」とコタール氏は語った。彼女は、中国の社会信用(ソーシャルクレジット)システムは、キャッシュレスと同時に決済システムを国家がコントロールする可能性があると警告する。

「私は、当局が私たちの私生活を盗み見て、このデータを悪用することを望んでいない」と彼女は語った。コタール氏は、デジタルユーロに関連する潜在的な危険性を議員たちに認識させるために、自身のプラットフォームを使って啓発活動を行っている。

しかし、欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロプログラムディレクターであるエヴリーン・ウィトロックス氏は4月に、「ECBはユーザーの個人データに興味はない」と語っている。10月には、EUのデータ保護規制当局がデジタルユーロ取引の匿名性に関する共同声明を発表した

コタール氏はデジタルユーロには賛同していないが、ビットコインの推進者だ。彼女は「ビットコイン・イン・ザ・ブンデスターク(ビットコインを連邦議会に)」というイニシアチブを支持しており、ビットコインの潜在的な利点とリスクについてドイツ連邦議会の議員たちを教育することに尽力しているとコインテレグラフに語った。

「ビットコインと他の仮想資産の技術的な違いを認識し、主にビットコインの社会的重要性に取り組む正式な連邦議会委員会を設立することは、我々にとって非常に重要だ」と彼女は述べる。彼女のイニシアチブは連坊議会の議員の情報源として機能し、彼らがビットコインについてより情報に基づいた決定を下すのを助けるという。

彼女がビットコインを巡るビジョンを説明するとともに、彼女が推進したいビットコイン政策として掲げたのは、税金や手数料をビットコインで支払う許可と、電力網を安定化するためにビットコインマイニングファームを使用することだ。

「ビットコインの自由な側面(パーミッションレスなアクセス、個人の主権)を推進する必要がある。これには、プライバシーの保護、セキュリティ基準の確保、過度な規制の防止を含むビットコインの利点を最大化することが含まれる」とコタール氏は語った。

また、彼女はビットコインをドイツの法定通貨として認める法的枠組みの「予備調査」を開始したいとも話した。

「これには、企業と市民の法的安全性を確保することが含まれる」と彼女は語った。「ビットコインに関連する潜在的なリスク、例えばマネーロンダリング、脱税、その他の違法行為を防ぐ必要がある」と彼女は述べる。「しかし、革新とビットコインの自由な側面を抑えることなくだ」。

コタール氏は、彼女のアイデアは他の国に「容易に移転」できるフレームワークとして提案した。彼女はビットコインとそのクロスボーダーな使用についての共通の基準を開発するための国際協力を呼びかけている。

市場で現在利用可能な他の仮想通貨に対して同様に情熱を感じるかどうかと尋ねると、彼女の回答は「私のイニシアチブはビットコインのみだ」と強調した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン