米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はフェイスブックの仮想通貨リブラの発表がFRBにとって警鐘だったことを認めた。2月11日に米議会議員ビル・フォスター氏(イリノイ州出身)の質問に答えた。パウエル議長は、デジタルドルの研究を精力的に進めており「複数のプロジェクトがある」と話した。ザ・ブロックが報じた

パウエル議長は、フェイスブックのリブラによって「火がついた」と発言。「リブラの動きが速かったことは警鐘」となり、「大手ハイテクネットワークの1つを使えば広範囲で構造的に重大なやり方で比較的速く(リブラのようなものを)実現してしまう」と警戒した。

パウエル議長の発言の背景には、中国人民銀行が進めるデジタル人民元への危機感もある。

ただ、パウエル議長はまだ正式にはデジタルドル開発には乗り出していないと強調した。

「デジタルドルをやる決定はしなかった。米国にとってデジタル通貨が何を意味するのか多くの質問が答えられる必要がある。サイバーセキュリティの問題やプライバシーの問題など運用面で多くの問題がある。我々はすべてのことをクリアして、徹底的に責任をもってやらなければならない」

動き出した世界の中央銀行

昨年6月にフェイスブックがリブラのホワイトペーパーを発表して以降、世界の中央銀行のデジタル通貨に対する見方が変わった。

日本銀行は先月末、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に向け、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げたと発表。FRBはこのグループに参加していないが、FRBのラエル・ブレイナード理事は、FRBがデジタルドルの実現可能性を研究していることを明らかにした。

また、自民党の山本幸三金融調査会長(元地方創生相)は10日、ロイター通信のインタビューで「デジタル円」の発行を求める提言をまとめ、政府の「骨太の方針」に盛り込むように求める考えを示した。

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