米下院の金融サービス委員会の議員が連邦準備制度理事会(FRB)に対して「デジタル米ドル」の発行を求めている。フェイスブックの仮想通貨リブラや中国人民銀行がデジタル通貨の発行を検討するなかで、米国もデジタルドルを検討すべきとの声が強まっている。
金融サービス委員会のフレンチ・ヒル議員とビル・フォスター議員は9月30日、パウエルFRB議長に「連銀は米ドルのデジタル通貨を開発するプロジェクトを引き受ける」よう求めた。
両議員は国際決済銀行の調査では世界40カ国でデジタル通貨の開発が行われていることを根拠に「他国のデジタル法定通貨が採用されれば、米ドルの優位性が危険にさらされる可能性がある」ことを懸念。
また両議員は仮想通貨は現在米国内では投機目的で使用されていることに言及しつつも、「将来は紙幣と同様に扱われることになる」とも主張した。
フェイスブックの仮想通貨リブラについても言及し、デジタル通貨の発行については民間企業に委ねるべきではないと指摘。リブラが発行されれば、米国外の金融ガバナンスの多くを制覇してしまうだろうとの危惧を示した。
米仮想通貨資産マネジメント「モルガン・クリーク・デジタル」創業者のアンソニー・ポンプリアーノ氏(通称ポンプ)も、米国政府はドルをすぐにデジタル化(トークン化)するべきだと主張する。
米ドルを含めた、デジタル通貨の覇権争いが始まっている。マネックスグループの松本大CEOは中国が計画する人民元のデジタル通貨に対して日本も「デジタル円」を構想すべきと提唱している。
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