米国の無担保型ステーブルコインのBasis(ベーシス)が、「セキュリティ(証券)区分を逃れる」すべがないことを理由に、プロジェクトの終了と出資者への返金を正式に認めた。13日にブルームバーグが伝えた

12日にプロジェクト閉鎖の第一報を仮想通貨メディアのThe Blockが報じていた。Basisのネイダー・アルナジCEOによると、プロジェクト閉鎖の決定要因は、通貨価格を安定させるためにベーシス内で用いられるトークン(Bondトークン)が、規制面で証券に該当することが判明したことにあるとした。

アルナジCEOは、「セキュリティ(証券)区分を逃れる」すべがないことを認め、それは自社にとって「非常にマイナスの知らせ」だったと述べた。ベーシスの弁護士は、ベーシス内のトークンが米証券取引委員会(SEC)から「証券」と見なされると結論付けた。そのように区分されたことでトークンの購入希望者の数が減ることがほぼ確実であり、ベーシスのステーブルコインモデルが崩壊することになると予測し、そしてプロジェクト終了に至った。

アルナジ氏は、トークンの多くを証券と分類する現在の規制手法は「分散型ネットワークの構築を試みる者にとっては厄介」なものとし、以下のように語った。

「中核部分において、大部分の仮想通貨の分散型という性質は、証券であることと根本的に相容れない」

ベーシスは昨年に立ち上がった仮想通貨スタートアップだ。今年4月に、アンドリーセン・ホロウィッツやベイン・キャピタル・ベンチャーズなどの大手投資会社から1億3300万ドルを調達。ベーシスは13日、支持者や投資家に感謝するツイートを投稿した。

「優れた金融システムを構築するという私たちのミッションを支援してくれたすべての皆さんに心から感謝する。また会う日まで」

ステーブルコイン市場には今年ビッグウェーブが押し寄せ、オンチェーン取引が11月だけでも9月比1032%という大きな伸びを見せたと言われている。ブルームバーグによると、仮想通貨業界では今年120のステーブルコインプロジェクトが展開され、その中にはベーシスと類似したトークンを実装しているものもある。

先月には「未登録」証券のICOを巡って、SECがエアフォックスとパラゴンの2社に約25万ドル(約2600万円)の罰金と投資家への資金返還を要求した。SECによる「証券」に分類されるトークンへの姿勢が厳しさを増していることも背景にありそうだ。