◆「資金流出」のため取引を停止していカナダの仮想通貨取引所メープルチェンジがツイッターを再開した
◆ビットコインとライトコインの返済はできないが、他の返済には最善を尽くすという
◆この事件は仮想通貨相場の重しになったのではないかという見方が出ている

ハッキング被害にあったと主張するカナダの仮想通貨取引所メープルチェンジ(MapleChange)が、ツイッターを再開した。メープルチェンジは、28日に「バグ」を理由に何者かが資金を持ち去ったとしてサイトやSNSを閉鎖していた

カナダの仮想通貨取引所メープルチェンジの声明

「みんな、消えたわけじゃないよ。解決策を考えるために一時的にこのアカウントも停止したんだ。全部の資金を返済できないけど、残った資金をウォレットに入れて資金の引き出しをできるようにするよ(希望的な観測だが)」

メープルチェンジは、チャットサイトのDiscordでアカウントを作成し、残った資金の返済方法などの質問を受け付けるそうだ。ただ、Discordをクリックしても「Invite Invalid(無効な招待)」と表示されて先に進めない。メインのサイトはオフラインのままだ。ツイッター上には「SNSアカウントを削除する必要はなかったのではないか」と対応を疑問視する声が出ている。

以下はメープルチェンジが、ハッキング後の取引所のバランスとしてツイッターに掲載した画像だ

カナダの仮想通貨取引所メープルチェンジの通貨保有バランス状況

 

メープルチェンジは、ビットコイン(BTC)とライトコイン(LTC)の返済は不可能だが、他のアルトコインに関して返済するよう最善を尽くすそうだ。

ハッキングが起きた当初仮想通貨メディアCCN(Crypto Coin News)などのメディアは、顧客を騙して資金を持ち逃げする失踪詐欺(Exit Scam)の兆候がいくつかある指摘していた。仮想通貨取引所がSNSを削除してまで消える必要はないし、「バグ」の発表と取引所の完全消滅までの時間が短いことが不自然だったという。

相場下落の一因?
大手主導は世界的潮流か

メープルチェンジは、小規模な仮想通貨取引所であるにも関わらず、仮想通貨相場には重しになったのではないかという見方が出ている。FXEmpireのボブ・メーソン氏は、規制当局による取り締まり強化を正当化するだろうと予想。カストディ (資産管理)をさらに充実させるように求める口実になるとみている。とりわけ米国証券取引委員会(SEC)はカナダの管轄ではないが、ビットコインETF(上場投資信託)の審査をする中で、ハッキングの脅威を再認識することになると懸念している。

ただ同氏は、現在、仮想通貨相場のボラティリティ(変動幅)が欠如するなか、こうした規制面での改革を行えない小規模な仮想通貨相場はどちらにしろ消えていくことになるだろうと予想している。

日本でも今年に入って、大手企業による仮想通貨取引所への参入が相次いでいる。4月にはマネックスグループが仮想通貨取引所のコインチェックを買収すると発表。その1週間後にはヤフーが子会社のZコーポレーションを通じ、仮想通貨取引所を運営するビットアルゴ取引所東京の株式40%を取得すると公表した。6月にはSBIホールディングスが子会社のSBIバーチャルカレンシーズを通じて仮想通貨交換業の営業を開始し、7月にはLINEが仮想通貨取引所「BITBOX」の取引を始め、8月には楽天がみなし業者のみんなのビットコインの買収を発表した。

また9月にハッキング事件のあったZaifを運営するテックビューロは今月10日、フィスコ仮想通貨取引所との間で、仮想通貨取引所「Zaif」の事業を譲渡する契約を締結したと発表した。

規制に対する対応やカストディの整備などを進める上で、大企業主導での仮想通貨取引所改革は世界的な潮流なのかもしれない。

 

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