マネックスグループは6日、仮想通貨取引所のコインチェックを買収すると発表した。買収額は36億円。16日付でコインチェックの全株式を取得し、完全子会社化する。マネックスは今回の買収で、仮想通貨事業に本格参入する。

 創業者の和田晃一良社長、大塚雄介取締役は不正流出の責任を取って取締役を退任し、執行役員に就任する。新社長にはマネックスの勝屋敏彦最高執行責任者(COO)が就く。マネックス創業者の松本大氏もコインチェックの取締役に就任する。

 株式の取得額は36億円だが、コインチェックの現所有者との間で条件付対価に関する合意がなされている。「今後3事業年度の当期純利益の2分の1を上限とし、一定の事業リスクを控除して算出される金額が追加で発生する可能性があります」としている。

 マネックスが発表した資料によると、コインチェックの17年3月期の総資産は38億6800万円、純資産額は5億4000万円だった。マネックスは、18年3月期の純資産額について、不正流出したNEMの保有者への補償後においても17年3月期末の純資産額を下回らないとしている。

 また仮想通貨の売却収入から売却原価を控除した額を売上高とした場合、17年3月期の売上高は9億8000万円、営業利益は7億1900万円だった。

 マネックスのオンライン証券業での経験を活かし、経営管理やリスク管理、顧客資産保護の体制を整える。マネックスは「コインチェックが持つブロックチェーン技術や仮想通貨に関する知見と、当社グループの金融業に関する知見を融合する」とリリースで述べている。

 コインチェックも同日、リリースを発表した。同社は不正流出事件を踏まえ、顧客保護や適切な業務運営の観点から、マネックスの「全面的な支援を受けて新経営体制を構築する」ことになったと説明している。和田氏と大塚氏は、新たな体制のもとで、システムなどの担当として業務にあたるとしている。

 ロイターによれば、麻生太郎金融担当相は同日、閣議後の記者会見でコインチェックの仮想通貨交換業者としての登録について、実効性のある経営体制の確立が最大の問題だと述べた。